(名残りの)オモテとウラ
まずは乾杯をして、名残りのオモテがはじまります。
付け句はウラの
十一 花の雲 麒麟首より歩み出す 信子 春
十二 心を鬼に絵をや踏むらん 翳雉 春
に続いて春の句。
名オ
一 奥床しき言葉づかいの蜆売り 恵洲 春
「ほう、ほう、どういう素姓の蜆売りなのでしょう…。」
お酒も入って話も盛り上がります。
二 黄金バット出づる頃合い 翳雉
三 八月の空戦争の話など 信子 夏
四 鼻欠け地蔵炎昼に立つ 恵洲 夏
ここはベテランのお三人競作。
八月だし、戦争の句は入れたくて…、と信子さん。
私もそろそろ採っていただかねば…。
五 駈落ちを決めて夜半(よなか)に握る飯 きらら
最初「駈落ちを決めて前夜に握る飯」としていたのですが、
おにぎりがいたむといけないので「夜明け」にしたところ、
桃籬さんから「駈落ちはふつう夜明けにするから、夜半がよいのでは?」と
鋭く指摘していただいて、この句になりました。
「きららさんの駈落ちはずいぶんのんびりしているなぁ」
「おかかにしますか? 鮭? たらこ? なんて言いながら作ってたりして…」
など、会話がはずみ…。
六 明(あか)し消し去る折からの雨 翳雉
歌舞伎がご趣味の翳雉さんに、同じくお詳しい桃籬さんが「曽根崎心中ですか?」と
聞いておられます。帰ってから調べようとこそっとメモします。
このあたり、名所(などころ)(の句)が欲しいですね、ということで、
すでに三人の方が出しておられました。
蹴石さんは、「よーし、これで自分のが採られたら祝杯あげよう!」と
おっしゃってます。
私は、闇→触覚かなぁ、と思って出来た句をともかく提出。
意外にもそれを選んでいただきました。
七 ふくさにてなぞる棗のまどかなる きらら
オモテに「卓袱台」が出ているので「袱紗」はひらがな。
離れているからいいようなものの、
珍しい漢字なのでイメージが戻らないようにという配慮もあるのですが……
いつも私は句を作るだけでせいいっぱい、
漢字は忘れてばかりなので、ひらがなの多い句になりがちです(^^;;
蹴石さんの方へ行ってお酒をいただき、
「蹴石さんのかわりに私が祝杯あげます」と言ったら
「あれ、きららちゃん(←ちゃん付けなのですw)、そんなこと言うの!?」と蹴石さん。
八 光秀公は真面目一筋 恵洲
九 この蕎麦屋腰の勁さが名代とも 信子
十 八郎潟に白帆見し頃 蹴石
名所がここで美しく出ました。
十一 故郷は月とお酒とおふくろと 恵洲 秋
十二 菊人形の反り返る見栄 信子 秋
名ウ
一 山並はここを先途と粧いて 翳雉 山粧う=秋
二 拾った貝が告げる占い 蹴石
三 聞香の仲間が集うひと刻に 信子
四 障子に当たる蜂の羽音 恵洲
このあたり、手も足も出ない状況の私。
花の句は難しいので、できるだけこのあたりで採ってほしいとは思うのですが…。
「うわー、花の句、難しくて今までも作れたことがないんです…」と言うと、
「ほんとに花句は難しいです。」
「昔は花句の前ではお香をたいたというけど、
それくらい格調も高くなくてはならないし…」
と皆さん肯かれます。
ともかく出さなくては、と思って
「祇園より先斗町へと花の風」
と出したら、捌きさんが
「花の風がちょっとねぇ…」
慌てて『十七季』の「正花一覧表」を見ます。
「えーっと、花の雲? 花吹雪?」いろいろ言ってみると、
「そういうんじゃなくて… 花おぼろなんてどう?」
「はいっ! それでお願いします!」
相変わらずの他力本願だし、句もまだまだ稚拙、
まさに「花を持たせていただく」の図でした(^^)。
それにしても、言葉をほんの少し変えるだけで、
句の姿かたちがこれだけよくなるなんて……。
勉強になった一日です。
五 祇園より先斗町へと花おぼろ きらら 花・春
六 遅日の石に残るぬくもり 桃籬 春
捌きさんの挙げ句により、お開きに。
時刻は8時。6時間半の長~いバトル、もとい連句でありました。
付け句はウラの
十一 花の雲 麒麟首より歩み出す 信子 春
十二 心を鬼に絵をや踏むらん 翳雉 春
に続いて春の句。
名オ
一 奥床しき言葉づかいの蜆売り 恵洲 春
「ほう、ほう、どういう素姓の蜆売りなのでしょう…。」
お酒も入って話も盛り上がります。
二 黄金バット出づる頃合い 翳雉
三 八月の空戦争の話など 信子 夏
四 鼻欠け地蔵炎昼に立つ 恵洲 夏
ここはベテランのお三人競作。
八月だし、戦争の句は入れたくて…、と信子さん。
私もそろそろ採っていただかねば…。
五 駈落ちを決めて夜半(よなか)に握る飯 きらら
最初「駈落ちを決めて前夜に握る飯」としていたのですが、
おにぎりがいたむといけないので「夜明け」にしたところ、
桃籬さんから「駈落ちはふつう夜明けにするから、夜半がよいのでは?」と
鋭く指摘していただいて、この句になりました。
「きららさんの駈落ちはずいぶんのんびりしているなぁ」
「おかかにしますか? 鮭? たらこ? なんて言いながら作ってたりして…」
など、会話がはずみ…。
六 明(あか)し消し去る折からの雨 翳雉
歌舞伎がご趣味の翳雉さんに、同じくお詳しい桃籬さんが「曽根崎心中ですか?」と
聞いておられます。帰ってから調べようとこそっとメモします。
このあたり、名所(などころ)(の句)が欲しいですね、ということで、
すでに三人の方が出しておられました。
蹴石さんは、「よーし、これで自分のが採られたら祝杯あげよう!」と
おっしゃってます。
私は、闇→触覚かなぁ、と思って出来た句をともかく提出。
意外にもそれを選んでいただきました。
七 ふくさにてなぞる棗のまどかなる きらら
オモテに「卓袱台」が出ているので「袱紗」はひらがな。
離れているからいいようなものの、
珍しい漢字なのでイメージが戻らないようにという配慮もあるのですが……
いつも私は句を作るだけでせいいっぱい、
漢字は忘れてばかりなので、ひらがなの多い句になりがちです(^^;;
蹴石さんの方へ行ってお酒をいただき、
「蹴石さんのかわりに私が祝杯あげます」と言ったら
「あれ、きららちゃん(←ちゃん付けなのですw)、そんなこと言うの!?」と蹴石さん。
八 光秀公は真面目一筋 恵洲
九 この蕎麦屋腰の勁さが名代とも 信子
十 八郎潟に白帆見し頃 蹴石
名所がここで美しく出ました。
十一 故郷は月とお酒とおふくろと 恵洲 秋
十二 菊人形の反り返る見栄 信子 秋
名ウ
一 山並はここを先途と粧いて 翳雉 山粧う=秋
二 拾った貝が告げる占い 蹴石
三 聞香の仲間が集うひと刻に 信子
四 障子に当たる蜂の羽音 恵洲
このあたり、手も足も出ない状況の私。
花の句は難しいので、できるだけこのあたりで採ってほしいとは思うのですが…。
「うわー、花の句、難しくて今までも作れたことがないんです…」と言うと、
「ほんとに花句は難しいです。」
「昔は花句の前ではお香をたいたというけど、
それくらい格調も高くなくてはならないし…」
と皆さん肯かれます。
ともかく出さなくては、と思って
「祇園より先斗町へと花の風」
と出したら、捌きさんが
「花の風がちょっとねぇ…」
慌てて『十七季』の「正花一覧表」を見ます。
「えーっと、花の雲? 花吹雪?」いろいろ言ってみると、
「そういうんじゃなくて… 花おぼろなんてどう?」
「はいっ! それでお願いします!」
相変わらずの他力本願だし、句もまだまだ稚拙、
まさに「花を持たせていただく」の図でした(^^)。
それにしても、言葉をほんの少し変えるだけで、
句の姿かたちがこれだけよくなるなんて……。
勉強になった一日です。
五 祇園より先斗町へと花おぼろ きらら 花・春
六 遅日の石に残るぬくもり 桃籬 春
捌きさんの挙げ句により、お開きに。
時刻は8時。6時間半の長~いバトル、もとい連句でありました。
by youyouhibiki
| 2010-08-12 19:54
| 連句・歌仙
本のこと、詩歌のこと、美術展のこと、and so on...
by youyouhibiki
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