連句 春疾風(はやて)の巻
前回の連句会から一ヶ月経ち、桜も綻びかけた昨日、四月の例会がありました。
いつものようにまず連句だけ載せて、別にそのときの模様なども載せようと思います。
連句 春疾風(はやて)の巻 平成二十三年四月二日
オ
一 被災地の惨日々新た春疾風 亦紅
二 眉上げ歌う卒業の子ら 恵洲
三 一息に蒲公英の飛ばしみて 桃籬
四 線路が続くかぎり旅行く きらら
五 何はとも稔れと祈る月の色 翳雉
六 無沙汰の友より今年酒来る 蹴石
ウ
一 どんぐりと松ぼっくりが晩ごはん 優梨
二 私十四と踊り子が言い 八感
三 父よりの恋文母の納棺に 幸子
四 編集気質(かたぎ)朱を入れる誤字 き
五 かつおぶしは紀州に限る名代蕎麦 紅
六 いつを最後に鳴った半鐘 雉
七 勘当の身に月もなくかまいたち 感
八 音忍ばせて霜柱踏む 桃
九 どのように蹴ればボールは無回転 蹴
十 風の来る方誰も知らない 紅
十一 花筏追いかける子の名前呼ぶ 梨
十二 首長竜に似たる雪占 雉
ナオ
一 鉄橋を一輌電車初つばめ 感
二 みどりに映えるホルスタイン柄 幸
三 結婚は八度子どもは四人とか 桃
四 未必の故意か密室の恋か 雉
五 徹夜明け濃い目のシャドー重ね塗り 梨
六 ホップステップジャンプの果ては 紅
七 腹を見せ守宮は窓にへばりつき き
八 浴衣ざらいに狂女演じる 桃
九 納経帳携え上る故事の坂 梨
十 積まれた薪の年輪の相 感
十一 またぎとは仮の姿よ月ぞ知る 紅
十二 虫籠下げて千鳥足なり 幸
ナウ
一 おそろいの服着て並ぶ捨案山子 き
二 旅芸人のいつも来る道 雉
三 一日に二本のバスは遅れがち 紅
四 松籟かそか古き釣釜 桃
五 花と花結ぶ渡しも花の中 感
六 三本締めに山笑うなり 恵
5月19日追記:すみません、その後、更新してなくて。
細かなところは省かせていただきますが、一つだけ:
オモテにはふつう、神祇釈教や生死などの句は載せないのですが、
やはり今回の震災のことは避けて通れません。
震災のことを入れない発句も提出されたらしいのですが、
捌きさんも、震災の句を採られました。
そして、「眉上げ歌う卒業の子ら」は、被災地の小学校の卒業式の様子、
「エールを送る意味もこめて、希望のある句で」付けられたものです。
連句には、四季があり、地名があり、神祇釈教や生死があり、時事の句があり、
何をどう読むかはそのときどきですが、時事の句を入れることによって一つ、
時間の流れに楔を打つ作業をしているとも考えます。
震災で犠牲になられた方々へ思いを持ちつつ開かれた、今回の連句でした。
by youyouhibiki
| 2011-04-03 23:00
| 連句・歌仙
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