リルケ私抄
中高生時代に読んだリルケを読み返すと、
気に入っていたのはどうしてもやさしい詩で、
どちらかというと少女趣味かもしれませんが、
茅野蕭々訳を紹介したいので、
いくつか載せてみます。
(岩波の詩集も、前期のものを収録しています)
*
お前は人生を理解してはならない。
すると人生は祭のやうになる。
丁度子供が進みながら
あらゆる風から
たくさんの花を贈って貰ふやうに、
毎日そのやうにさせるのだ
その花を集めて、貯へる
そんなことを子供は思はない。
花が捕はれてゐたがつた
髪から軽くそれを払つて
子供は愛らしい年々に
新しい花を求めて両手を差出す。
*
これが私の争だ。
憧憬に身をささげて
毎日を歩み過ぎる。
それから、強く広く
数千の根の条で
深く人生に掴み入る--
悩みを経て
遠く人生の外に熟す。
時代の外に。
*
誰が私に言ひ得る。
何処に私の生が行きつくかを。
私も亦た嵐の中に過ぎゆき、
波として池に棲むのではないか。
また私は未だ春に蒼白く凍つてゐる
白樺ではないのか。
*
夕ぐれは私の書物。花緞子の
朱の表紙が眼もあやだ。
私はその金の止金を
冷たい手で外す。急がずに。
それからその第一ペエヂを読む、
馴染み深い調子に嬉しくなつて--
それから第二ペエヂを更にそつと読むと、
もう第三ペエヂが夢想される。
リルケ/茅野蕭々訳
by youyouhibiki
| 2008-07-22 08:01
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