カテゴリ: 連句・歌仙( 23 )

歌仙 冬空やの巻

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歌仙 冬空やの巻 平成二十五年十二月六日


冬空やさえぎるはなき鳥の声   きらら

  干す大根の白さまぶしき    亦紅

紙吹雪杜の都に舞い散って     次世

  栄枯は移るこれが徒し世    翳雉

ふりむけば夕轟きに出ずる月    八感

  蜉蝣尻を立てて湯の縁     暗吾


棚曇り爪紅よ鹿島立ち        感

  転校生の言葉真似する     優梨

篦にして木あり竹あり象牙あり    感

  ひそかに籠る窓のない部屋    き

永田町超過勤務も辞さずして    梯梧

  巻く水飴の切れにくき糸     吾

梅雨明けの月に拍子木打ってくる   雉

  足踏みミシン汗をかきかき   幸子

鼻歌にもう恋などはしないとか    吾

  上手に使う本音建前       世

花八分もと玉ノ井のこの辺り     雉

  裾の乱れは春荒れのせい     き


ナオ

内縁というの好きやわ目刺し焼く   吾

  吉備津の釜は鳴る気配なし    梨

ひげ面のツキがたよりの馬券買い   世

  三色ペンの赤ばかり減る     梨

自由また平等愛の旗の下       幸

  無筆論客集う居酒屋       雉

剥製の牡鹿の角のうすぼこり     吾

  誰にも言えぬ臨死体験     桃籬

笑という文字どことなくほがらかだ  吾

  親馬鹿ならぬ叔母馬鹿となる   梨

静もれる合掌部落寝待ち月      桃

  茎に似合わず太き自然薯     世


ナウ

人の輪の踊りの列となりて過ぐ    き

  故郷はあればあるで愛しき    吾

ふと見れば飛行機雲のまっすぐに   雉

  紋白蝶と語る放課後       梨

記念樹の今や盛りと咲ける花     き

  三々五々との遊びの子ら     亦


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by youyouhibiki | 2013-12-22 12:40 |  連句・歌仙 | Comments(0)

11月の連句

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  歌仙 国原(くがはら)     十一月三日


一 国原に遠き山々雁渡る           きらら 秋
二   秋を惜しめば紬織る音         幸子 秋
三 月めざす銀河鉄道乗り合いて        優梨 秋月
四   背くらべする団栗の数         翳雉
五 深々と帽子被りしあれは誰         恵洲
六   秘かに増える巣籠もり消費       次世

一 祖父の味鼈(スッポン)鍋を懐かしむ    梨 冬
二   蹲踞の裾石蕗(つわ)は黄に咲く    梯梧 冬
三 竿売りの声流れゆく築地塀         雉
四   たもとに偲ばす四つ折の文       紅 恋
五 ためらうな星の巡りは我が身方       梯 恋
六   辞表を出して金髪にする        梨
七 大阪は今日が中日朧月           恵 春月
八   春風駘蕩遂に嫁取る          紅 春
九 マンションに江戸より伝う雛飾り      梨 春
十   猫に代々名前まだ無い         雉
十一 波静か陽は沈みゆく合歓の花       蹴石 夏花 
十二  茫々として水鶏(くいな)鳴くなり   紅 夏
名残りの表
一 大洪水より一年(ひととせ)の早や過ぎて  恵
二   こよりの指輪結びくれたり       き 恋
三 青空に笑顔こぼれるブーケトス       梨 恋
四   ある日届いた召集令状         次
五 賑やかな街なお酒を醸(かも)しおり    雉 ※   
六   川面に浮かぶうたかたの末       き
七 爪噛んでほぞを噛み噛みあきらめた     紅
八   人の名前は楽に覚える         石
九 歩合制高給取りの平社員          梨
十   絶対音感ありしあの頃         梯
十一 よく聞けば蚯蚓(ミミズ)鳴くなり月の暈 雉 秋月
十二  あの秋の子はサトウハチロー      恵 秋
名残りの裏
一 途中下車軒また軒に柿すだれ        次 秋
二   確かに私おばあちゃん子よ       紅
三 スニーカーなぜだかいつもタテ結び     梨
四   風船が飛ぶ風船が飛ぶ         石 春
五 だまし絵にだまされた振り花の枝      き 春花
六   すばやく割れる若鮎の群れ       幸 春

10月はあっと言う間に過ぎ、早くも11月。
昨日は連句の日でした。
発句を担当でしたので、前日から考えていたのですが、
先日友人と六甲へ行ったのでその時の風景を思いだしてつくりました。
昨日は発句だけ出させていただいて途中参加でしたが、
とても楽しかったです。

結社の中には故丸谷才一さんと半歌仙を巻かれた方もいらっしゃって
「賑やかな街」(タイトル)は、丸谷さんへのオマージュです。
また、「だまし絵」は、文化の日で安野光雅さんのことが
頭をよぎっての句です。
結社では毎月歌仙を巻いているので春の花以外の季でつくることもしており、
今回は夏の花が入りました。
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by youyouhibiki | 2012-11-04 13:26 |  連句・歌仙 | Comments(0)

六月の歌仙 「風清(さや)に」

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  歌仙 風清に      六月二日 


一  風清(さや)に啼鳥千里麦の秋    雉  夏
二    酒亭に続く緑陰の径       恵  夏
三  プードルにかぎると犬を引き連れて  紅
四    パントマイムに拍手やんやと   次
五  金環蝕みごとに黒い満月よ      吾  秋 月
六    うさぎ跳びして体育の日は    き  秋


一  目のつんだ布より香る菊枕      梯  秋
二    押し絵の美女と共に旅立つ    梨  恋
三  恋唄は血を吐くまでの港町      き  恋
四    遺産整理で知る我が出生     梨
五  シベリアという菓子由来何ならん   吾
六    背中が語る清貧の人       次
七  紙を漉く槽(ふね)に砕ける月の影  吾  冬 月 
八    寒の土用を写経三昧       雉  冬
九  尖らせた真っ赤な爪でハンバーグ   梨
十    我が家の麺棒腰の丈まで     梯 
十一 休業と貼り紙のある花の茶屋     石  春 花
十二   卒業式の借り着出はらう     紅  春

名残りの表
一  吾こそは佐保姫なりとおのがじし   雉  春
二    グランドジャットの日曜の午後  吾
三  夥しき軍靴ひびける石畳       石
四    まだ全廃の出来ぬ原子炉     き
五  未来人タイムマシンで助っ人に    梨
六    涙に似たり汗の成分       き  夏
七  野仏も頬かぶりする日照り畑     次  夏
八    過ぎ行く汽車に手を振る別れ   紅  恋
九  ライバルがとたんに増えた筒井筒   里  恋
十    七転八倒征露丸服む       石
十一 よく見ればわずかに歪つ望の月    次  秋 月
十二   鬼の捨て子の揺れるともなく   雉  秋
名残りの裏
一  冬隣りジリジリ上がる円相場     吾  秋
二    袱紗をたたむ流儀さまざま    き
三  独り住む翁に煮物お裾分け      紅
四    きぎす(雉)の声を背の山に聞く 吾  春
五  かくとこそ春は朝(あした)の花よりぞ 雉 春 花
六    古式ゆかしき曲水の宴      恵  春


発句、二の句は漢詩「千里 鶯 啼いて緑 紅に映ず 水村山郭 酒旗の風」
を初夏に移して。主客と亭主、あうんの呼吸。
グランドジャットの〜、はスーラの絵の風景。
鬼の捨て子=みの虫。
季語は初春とか晩秋とか細かく書いてませんが、
いちおう載せてます。何もないところは「雑」。
「き」が私の句。

連句を巻いているといろいろな言葉が出てくる。たとえば
「押し絵の美女と共に旅立つ」が出たときは:

押し絵って何?
  江戸川乱歩の短編にこういうのあるんです。
へー、知らなかった。押し絵って羽子板の?
  ええ
羽子板ねぇ。あれ、押し絵のではたいへんなのよ、重たすぎて。
  あれは飾りでしょ?
え? でも私、あれで羽根をついたわよ、子どものころ。
あの羽根についてる黒いのって、植物?
  むくろじ。
むくろじって? 
  (電子辞書見て)へー、サポニンを含んでいるんですって。
  石鹸の代わりになるって書いてある。
どうやって石鹸になるの?
  さあ、そこまでは書いてない。エゴノキもそうよね。
あ、エゴノキ、先日撮りました。撮りましたけど携帯の調子悪くって
お見せできない。。

というのが上の写真です。
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by youyouhibiki | 2012-06-12 23:19 |  連句・歌仙 | Comments(0)

6月の連句 梅雨晴れの巻

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      梅雨晴れの巻  6月4日 
  
オモテ
一  梅雨晴れや小さき空地の地鎮祭  恵洲
ニ     蛇の蛻(もぬけ)のゆれる石垣  暗吾
三  鉛筆のとがり具合を確かめて  桃籬
四    近頃増えた頬の肝斑(かんぱん)  亦紅
五  賞賛の消えた銅像天に月  梯梧
六    一衣帯水竹の春なり  翳雉

ウラ
一  アンテナに縄張り喚く百舌がいる  次世
ニ    珍芸見せる小屋永田町  八感
三  自転車は一方通行逆走り  蹴石
四    手を握られてほんまどすえと  きらら
五  五分咲いて終る恋とて狂おしく  次
六    野郎帽子のあだなむらさき  紅
七  かじけ猫飛び出すほどに月冴えて  優梨
八    川向うらし火事の半鐘  洲
九  風立ちぬ葉裏の白き見え隠れ  感
十    常香炉には元禄の銘  桃
十一 するすると抜くしつけ糸花あした  き
十二  フランス人形ひな壇の下  洲

ナオ
一  垣越しに春の日傘の浮かれゆく  雉
ニ    人には言わぬ臨死体験  桃
三  治せるかルルドの水で引きこもり  梨
四    九回のウラ打てホームラン  き
五  酔いもせず唇(くち)も吸わぬは罪ならん  雉
六    母の日記の破かれた跡  梨
七  ヴィオロンの鳴り出すなり静かにも  石
八    泳げる夢の醒めてくやしき  洲
九  塗りの椀ひとつ残され隠岐の島  き
十    お捻り中は一銭五厘  紅
十一 拝啓のあとは続かず雨の月  石
十二  はらりと重し甲斐のすすきは  洲

ナウ
一  ゆくりなく落ち鮎の串かさねけり  桃
ニ    訥弁むしろ好もしと言う  紅
三  読みさしの本置かれたる低き椅子  感
四    囀りまねて口笛を吹く  梨
五  灯台の岬は遠し落花飛花  き
六    陽に白々と春のキャンバス  吾


つゆのひぬま、連句の会に行ってきました。
花の句を二句もとっていただき、嬉しかったですが、
いつもは皆さん、花の句を一句とっていただいたら、
あとの方は遠慮してお出しにならないか、
あるいは自己申告されます。
私は最後酔っ払っていて、何も言わずに出してしまいました。
反省しております。

一衣帯水=一本の帯のような狭い川や海のこと。また、そのような水を隔てて
近く接していること。(『南史』)

野郎帽子=江戸時代、野郎歌舞伎の女方の役者が、前髪をそったあとを
隠すために置き手拭(てぬぐ)いをしたのが変化し、帽子のようになったもの。
多く紫縮緬(ちりめん)などで作った。

常香炉=浅草などお寺の前のおおきなお線香の炉。

ルルドの水=奇跡をおこすと言われている聖水。

はらりと重し甲斐のすすきは=本歌取り。「をりとりてはらりとおもきすすきかな(蛇笏)」
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by youyouhibiki | 2011-06-05 23:14 |  連句・歌仙 | Comments(0)

5月の連句

5月の連句は、去年の4月にもお邪魔した東京都下某所にある
八感さんのアトリエで行われました。
鶯の沢渡が聞こえる名勝です。
雨模様の一日でしたが、山の緑が少し墨絵のようになり、
とても美しい景色でした。

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五月七日 傾ぐままの巻


一  傾ぐまま大樹燃え立つみどりかな     きらら
二    谷のこちより渡る老鶯           幸子
三  バスで行くこの町雨に洗われて       蹴石
四    はたと動きの絶えた工事場        翳雉
五  涸れ井戸の甦りしか月映す         亦紅
六    子を育てるに鰯売る日々         き

一  近道をしてきた証拠いのこづち       恵洲
二    指の先にてまわるヤジロベェ      八感
三  小舟棹(さ)し向かう世界の果ての果て  優梨
四    ドリトル先生今年喜寿とか        恵
五  宙に浮く眠れる美女を消してみせ      き
六    根雪の下に響く流水            石
七  月冴ゆる祖父母のおわす佐渡島      感
八    昔語りはするめ噛み噛み         紅
九  通信簿褪せて黄ばんでやや劣る      雉
十    ふふと笑って背(せな)に隠れて    感
十一 前挿しは濡れ羽の髪に花万朶       き
十二   逃げ水めきて逃げる面影        恵
ナオ
一  春の虹手に手を取って夢の中       梨
二    粥一椀の盆を持つ僧           感
三  消防班いかにもにわか作りなり       恵
四    靴のサイズは三十センチ        紅
五  北枕して寝ることの心地よく         雉
六    トリプルルッツ決める瞬間        き
七  右左今だそこだと西瓜割り         梨
八    群れる舟虫散れる舟虫         雉
九  雑草と言わるる筋なき野草なり       感
十    天地創造二日目の朝           恵
十一 月踊る阿波よしこのに誘われて      梨
十二   抗うすべもなき稲光           感
ナウ
一  冠婚も葬祭もあり秋更けぬ         紅
二    数決めて売る上用饅頭         き
三  世が世なら噂の刀自の笑む麗ら     恵
四    決算期とて活かす算盤         紅
五  居並んで池を覗くや花筏          共栄
六    人みな旅に春惜しむらん        幸

名残の花に、八感さんの奥様の句を頂戴し、幸子さんの挙句で
めでたくお開き。
そのあと、なんと奥様お手製のご馳走を頂戴いたしました。
特に朝掘りの筍が、たいへんたいへん美味でありました。

連句勉強中のかなえさんが、皆がウンウンうなってるところを
(え? うなっているのは私だけ?)写真に撮ってくださいました。
そういえば、今までこういう写真、なかったかも。。
珍しいのでアップします。
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若干の補足:
勝手に「傾ぐままの巻」としてしまいましたが、よかったのか不明です。

団塊世代の通信簿は5段階は、上から大変よくできる、よくできる、普通、やや劣る、
劣るだったとのこと。

前挿し;前髪の両脇(左右のこめかみ辺り)に挿す簪をこう呼ぶ。
びら簪、小ぶりな花簪など趣味的な小型の簪を使用するが、
実際に挿すのは少女や舞妓などがほとんど。割れしのぶやおふく髷など
少女向きの髷によく見られる。(wikipedia 簪の項)

今日も某所で、「連句って規則がいっぱいあってたいへんそう」と言われましたが、
規則よりも発想が前と重ならないことのほうがたいへんなような気がします。
規則の方はむしろ、連句の展開の役割りをするわけで。

連句を始めてからいつもなかなか発想の転換ができなかったのですが、
最近、ほんの少しだけ、主語を変えていくことができるようになった気がします。
もっとも「少しだけ付け句のやり方が分かったような気がします」と言ったら、
みなさんに「すぐにまた分からなくなるから。。」と言われてしまいました。
連句は難しい、だから楽しい、のですよね。
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by youyouhibiki | 2011-05-19 00:49 |  連句・歌仙 | Comments(3)

連句 春疾風(はやて)の巻

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前回の連句会から一ヶ月経ち、桜も綻びかけた昨日、四月の例会がありました。

いつものようにまず連句だけ載せて、別にそのときの模様なども載せようと思います。


連句 春疾風(はやて)の巻    平成二十三年四月二日

一  被災地の惨日々新た春疾風   亦紅
二     眉上げ歌う卒業の子ら   恵洲
三  一息に蒲公英の飛ばしみて  桃籬
四     線路が続くかぎり旅行く  きらら
五  何はとも稔れと祈る月の色  翳雉
六     無沙汰の友より今年酒来る  蹴石

一  どんぐりと松ぼっくりが晩ごはん  優梨
二     私十四と踊り子が言い   八感
三  父よりの恋文母の納棺に   幸子
四     編集気質(かたぎ)朱を入れる誤字  き
五  かつおぶしは紀州に限る名代蕎麦  紅
六     いつを最後に鳴った半鐘   雉
七  勘当の身に月もなくかまいたち  感
八     音忍ばせて霜柱踏む   桃
九  どのように蹴ればボールは無回転  蹴
十     風の来る方誰も知らない  紅
十一 花筏追いかける子の名前呼ぶ  梨
十二   首長竜に似たる雪占   雉
ナオ
一  鉄橋を一輌電車初つばめ  感
二    みどりに映えるホルスタイン柄  幸
三  結婚は八度子どもは四人とか  桃
四    未必の故意か密室の恋か  雉
五  徹夜明け濃い目のシャドー重ね塗り  梨
六    ホップステップジャンプの果ては  紅
七  腹を見せ守宮は窓にへばりつき  き
八    浴衣ざらいに狂女演じる  桃
九  納経帳携え上る故事の坂  梨
十    積まれた薪の年輪の相  感
十一 またぎとは仮の姿よ月ぞ知る  紅
十二   虫籠下げて千鳥足なり  幸
ナウ
一  おそろいの服着て並ぶ捨案山子   き
二     旅芸人のいつも来る道  雉
三  一日に二本のバスは遅れがち  紅
四     松籟かそか古き釣釜   桃
五  花と花結ぶ渡しも花の中  感
六     三本締めに山笑うなり   恵


5月19日追記:すみません、その後、更新してなくて。
細かなところは省かせていただきますが、一つだけ:
オモテにはふつう、神祇釈教や生死などの句は載せないのですが、
やはり今回の震災のことは避けて通れません。
震災のことを入れない発句も提出されたらしいのですが、
捌きさんも、震災の句を採られました。
そして、「眉上げ歌う卒業の子ら」は、被災地の小学校の卒業式の様子、
「エールを送る意味もこめて、希望のある句で」付けられたものです。

連句には、四季があり、地名があり、神祇釈教や生死があり、時事の句があり、
何をどう読むかはそのときどきですが、時事の句を入れることによって一つ、
時間の流れに楔を打つ作業をしているとも考えます。
震災で犠牲になられた方々へ思いを持ちつつ開かれた、今回の連句でした。
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by youyouhibiki | 2011-04-03 23:00 |  連句・歌仙 | Comments(0)

(名残りの)オモテとウラ

まずは乾杯をして、名残りのオモテがはじまります。
付け句はウラの

  十一  花の雲 麒麟首より歩み出す  信子 春
  十二  心を鬼に絵をや踏むらん  翳雉 春

に続いて春の句。

名オ
一  奥床しき言葉づかいの蜆売り  恵洲 春


「ほう、ほう、どういう素姓の蜆売りなのでしょう…。」
お酒も入って話も盛り上がります。

二  黄金バット出づる頃合い  翳雉
三  八月の空戦争の話など  信子 夏
四  鼻欠け地蔵炎昼に立つ  恵洲 夏

ここはベテランのお三人競作。
八月だし、戦争の句は入れたくて…、と信子さん。

私もそろそろ採っていただかねば…。

五  駈落ちを決めて夜半(よなか)に握る飯  きらら

最初「駈落ちを決めて前夜に握る飯」としていたのですが、
おにぎりがいたむといけないので「夜明け」にしたところ、
桃籬さんから「駈落ちはふつう夜明けにするから、夜半がよいのでは?」と
鋭く指摘していただいて、この句になりました。

「きららさんの駈落ちはずいぶんのんびりしているなぁ」
「おかかにしますか? 鮭? たらこ? なんて言いながら作ってたりして…」
など、会話がはずみ…。

六  明(あか)し消し去る折からの雨  翳雉

歌舞伎がご趣味の翳雉さんに、同じくお詳しい桃籬さんが「曽根崎心中ですか?」と
聞いておられます。帰ってから調べようとこそっとメモします。

このあたり、名所(などころ)(の句)が欲しいですね、ということで、
すでに三人の方が出しておられました。
蹴石さんは、「よーし、これで自分のが採られたら祝杯あげよう!」と
おっしゃってます。
私は、闇→触覚かなぁ、と思って出来た句をともかく提出。
意外にもそれを選んでいただきました。

七  ふくさにてなぞる棗のまどかなる  きらら

オモテに「卓袱台」が出ているので「袱紗」はひらがな。
離れているからいいようなものの、
珍しい漢字なのでイメージが戻らないようにという配慮もあるのですが……
いつも私は句を作るだけでせいいっぱい、
漢字は忘れてばかりなので、ひらがなの多い句になりがちです(^^;;

蹴石さんの方へ行ってお酒をいただき、
「蹴石さんのかわりに私が祝杯あげます」と言ったら
「あれ、きららちゃん(←ちゃん付けなのですw)、そんなこと言うの!?」と蹴石さん。

八  光秀公は真面目一筋  恵洲
九  この蕎麦屋腰の勁さが名代とも  信子
十  八郎潟に白帆見し頃  蹴石

名所がここで美しく出ました。

十一  故郷は月とお酒とおふくろと  恵洲 秋
十二  菊人形の反り返る見栄  信子 秋

名ウ
一  山並はここを先途と粧いて  翳雉 山粧う=秋

二  拾った貝が告げる占い  蹴石
三  聞香の仲間が集うひと刻に  信子
四  障子に当たる蜂の羽音  恵洲

このあたり、手も足も出ない状況の私。
花の句は難しいので、できるだけこのあたりで採ってほしいとは思うのですが…。

 「うわー、花の句、難しくて今までも作れたことがないんです…」と言うと、
 「ほんとに花句は難しいです。」
 「昔は花句の前ではお香をたいたというけど、
 それくらい格調も高くなくてはならないし…」
と皆さん肯かれます。
ともかく出さなくては、と思って
 「祇園より先斗町へと花の風」
と出したら、捌きさんが
 「花の風がちょっとねぇ…」
慌てて『十七季』の「正花一覧表」を見ます。
 「えーっと、花の雲? 花吹雪?」いろいろ言ってみると、
 「そういうんじゃなくて… 花おぼろなんてどう?」
 「はいっ! それでお願いします!」
相変わらずの他力本願だし、句もまだまだ稚拙、
まさに「花を持たせていただく」の図でした(^^)。
それにしても、言葉をほんの少し変えるだけで、
句の姿かたちがこれだけよくなるなんて……。
勉強になった一日です。

五  祇園より先斗町へと花おぼろ  きらら 花・春
六  遅日の石に残るぬくもり  桃籬 春

捌きさんの挙げ句により、お開きに。
時刻は8時。6時間半の長~いバトル、もとい連句でありました。
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by youyouhibiki | 2010-08-12 19:54 |  連句・歌仙 | Comments(0)

オモテとウラ

毎月第一土曜日にある連句の会、
ふだんだと10名以上が出席するのですが、
この日は最初5名、その後1人増えて6名、と比較的少人数。
人数が多いと、なかなかどんな風にやっているのか、
伝えるのもたいへんなのですが、今回は人数が少なかったので
ちょっと書いてみます。

まず、神奈川県下の某センターの一室に、
5名が三々五々、やってきます。
開室は1時半、お茶やお菓子の用意をして、連句は1時半にはじめます。

オモテ=歌仙の最初の6句です。

オ発句 鬆(す)の立ちし脳に容赦もなき残暑  恵洲(秋)
オ二    荻のそよぎもしるき暮れ方     桃籬(秋)


この二句は、はじまるときには出来ており、
ここからが本番となります。

この日は立秋。
正確に言うと今年の立秋は14時49分なんだそうです(wikipediaによる)。
私、時間が決まっているなんて、知りませんでした。。

さて、次は「月」の句です。
ふつうは五句目にくる「月」ですが、秋のときは最初の三句が秋になるので、
引き上げられます。
なおかつ、「テ止め」と言って、三句目は、「~て」「~らん」などで終わる、
という規則があります。
(これは多分、「場」を変えるため)

一同しばし熟考。。

オ三  野外劇待つ間をしばし月愛でて   信子

何度も繰り返すようですが、連句ではA句と次のB句は関連していてもよく、
B句と次のC句も関連していてよいが、A句とC句はまったく関連しない、という
ルールがあります。
また、それぞれの句が近すぎて、すぐに連想されるのもNGです。
連句を見ていると、わりあいこの連想がすぐにできる連句も多いのですが、
当会では付き過ぎは特に嫌っていて、そこが勝負どころでもあります。

さて、ふだんは「出勝ち」と言って、何人かが付け句をして捌きが一句を採るのですが、
今回は人数も少ないので「膝送り」(順番制)にしようか、などという声も聞こえてきます。
とすると、すでに5名のうち3名が出しているわけだから、私を含めて残るは2名?
プレッシャーがかかります(^^;;

今回、私にとって運がよかったのは捌きの桃籬さんの横に座ったこと。
出した句をさんざん添削していただいて、四句目を採っていただきました。

四  忘れ扇にかすれたる歌    きらら(秋)

最初は 「忘れ扇に歌のかすれて」→(テ止めが続くので)「かすれし歌の忘れ扇に」
→リズムが悪い→捌きさんより「忘れ扇にかすれたる歌」では?
ふつうは添削なんてやっていただけないのですが、人数が少なかったし、
なといっても30年もやっていらっしゃる面々の中では私、まだ入会3年目の若輩者だし。。

五  D51(デゴイチ)は昼のしじまを置き土産   翳雉(雑)
六  原稿書きも卓袱台でする    恵洲(雑)


発句を出したあと、付け句を遠慮していらっしゃった恵洲さんも、
ここから参戦、
このあたり、さっぱり私の頭はまわらず、ただただ
「なるほど~」「お~」などと言うばかりの私。。
言わずもがなの解説ですが、野外劇に忘れられていた扇が、
次の句では汽車にあるという設定になり、
その次の句では電車を聞いている室内の景色へと変化しているわけです。

このあたり、わりとすんなり、いつもより早いスピードでオモテ六句ができました。
続いてウラ。次は12句です。
オモテは、交響曲で言う序章のようなもの。
「神祇釈教」や「生死」など、インパクトが強い句は出さないことになっており、
ウラではそれらが解禁になります。

ウ一  近頃は有機エコなどくどくどと   信子

実は私も、「えーっと、男の人が一人原稿書きをして、
誰か近所の人がやってくる? 宅配便? 回覧板?」などと思っていたのですが、
信子さんはその先を行ってらっしゃいます。
付け句は、やってきた人がしゃべっていること。
私ならせいぜい、「玄関に…」とか「届けものは…」みたいな句しか
出来ないと思うのです。
恵洲さんの「原稿書きも卓袱台でする」も
「近頃は有機エコなどくどくどと」も、
パッと情景が目に浮かぶよう。さすがです。

ウ二  五十で逝くも九十(くじゅう)を生くも  翳雉

なるほど。。この句も、最後まで「~~だ」と言わないところがいいなぁ。。
というところで閃きました。「とかく陽気なかんかんのう」これだ!
上5、もう少しヒネりたかったのですが、採っていただきました。

ウ三  手習いはとかく陽気なかんかんのう   きらら

「ふっふ、(落語の)駱駝ですね」などと声が聞こえます。
落語のこと、あまり詳しくないのですが、かんかんのうだけは知ってまして(^^)

ウ四  貢ぐ振られる性懲りもなく   恵洲(恋)
ウ五  残月に枯れ蟷螂(とうろう)のひそむ枝  桃籬 秋月


なるほどなるほど。。人数が少ないので、捌きの桃籬さんも参加です。

ウ六  そろそろ炭のほしい語り部  信子 秋
ウ七  伝来の薬草霊験あらたかに  きらら

最初、「知りつくす薬草霊験あらたかに」としていましたが、
捌きさんから「ちょっと付き過ぎかしら? 『伝来の』にしたら?」と
こっそり教えていただきました。
なるほど。。「知りつくす」だと主語は「語り部」になるけど
「伝来の」だと句の主体が薬草になって、付きすぎじゃなくなる。。

八  見るより凄く変わる面相   翳雉

そんな薬草だったのね(^^;;

九   命令は敵中横断決死行  恵洲
十   風がないのに揺れるブランコ   蹴石


少し前に着かれた蹴石さんが、早くも一句。
ちなみに蹴石さんは私より一回り上ですが、サッカーがご趣味。
この日もグラウンドでサッカーされての帰りでした。
いよいよ花の句です。

十一 花の雲麒麟首より歩み出す  信子(春)
十二  心を鬼に絵をや踏むらん  翳雉(踏み絵=春)


わーい、これでオモテとウラができた~!!
時間は4時すぎ?(ちょっとよく覚えてないのですが)
でもこれで完成じゃないんです。
あと、名残のオモテ12句と名残のウラ6句があり…ということは、
ちょうど折り返し地点(^^;;
でも、ここでビールやお酒、おつまみと軽食が出て気分転換となります!(ファイト!

(続きはまた今度。。)
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by youyouhibiki | 2010-08-09 22:27 |  連句・歌仙 | Comments(0)

桜源郷

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3日の土曜日は、連句の会の月一回の例会でした。
ふだんは公民館などを使わせてもらっているのですが、
4月だけは東京・町田市郊外の、メンバーの方の絵のアトリエを
使わせていただいております。

アトリエから眺めると、道一つ隔てた向こう側に
桜の森があります。
遠くで鶯が鳴いています。

むぅ、ここは桃源郷ならぬ桜源郷。
そんな中で連句なんて、なんと優雅な…とお思いかもしれませんが、
句を付けようとのたうちまわっていて
やはりふつうのお花見ほど「飲めや歌えや」という訳にはいきません。

日が沈むころになると、桜の森に夕陽が伸びて、
とても美しい…でも連句やって……

半分のところでお酒飲んで…でも連句やって…

桜の森、もう見えなくなって…でも連句やって…

一日があっと言う間に過ぎてしまいました。



去年の模様はこちらに書いています。
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by youyouhibiki | 2010-04-05 21:44 |  連句・歌仙 | Comments(2)

歌仙「見知らぬ人と」の巻

e0098256_2114585.jpg

Optio in the Windさんと巻いた歌仙がようやく満尾となりました。
Twitterで、と最初思っていましたが、いろいろなすり合わせ(?)に
140字という制限は厳しく、結局メールでやりとりを……。

お互い忙しかったりあれこれ意見を交換したりのゆっくりペースでしたが、
終わってみると貴重な時間を過ごしたと、Optioさんにはとても感謝しております。

ちょうど1月から3月15日くらいまでは、私も仕事がとても忙しく、
読書をしたり美術展に行ったりする時間はほとんど取れない状態でしたが、
そんな中でも寝る前やバスの中などで付け句のことを考えるのは
とても楽しいことでしたし、仕事と平行して別の時空間を持てたことは、
得がたい慰めとなりました。

出来上がった連句について言うと、私が捌きをさせていただいたのですが、
月の句をすべて秋にしてしまったりいろいろ式目から離れたところもあると
思いますし、つたなさも歴然です。
ですがおそらく、Optioさんと私でなければ巻けない歌仙になったのでは?
と思います。

ご覧になって、できれば質問や感想をお寄せいただければと思います。
私自身、好きな箇所が何箇所かあるのですが、ご覧になっていかがでしょう?
厳しいご感想も、どうぞお手柔らかに、と念じつつ、お待ちいたします。


     歌仙「見知らぬ人と」の巻
     平成22年1月23日より同4月4日


発句  寒もどり見知らぬ人と苦笑かな         雪灯 初春
脇     ゼブラゾーンを渡る白蝶            悠々 三春
第三  木の芽味噌照りに秘密の宿るらん       雪 仲春
第四    思えばさても長き行商(あきない)      悠 雑
第五  沖つ波辺つ波結ぶ月の帯            雪 三秋月
第六    風の階調柳散る日は             悠 仲秋


折立  ハロウィーンの妖精ハープ爪弾いて      雪 晩秋
二     お土産いつも絵本なる父           悠 雑
三   坂道の曲がり行く先町新た            雪 雑
四     瑞雲立てる夕焼けの富士           雪 晩夏
五   八月の決意固くて拾う骨              悠 初秋    アルピニスト野口さん
六     夜学して問ふ自らの根を           雪 三秋
七   かそけきは洗濯の音月の窓           悠 三秋月
八     紅葉の中を睦む影揺れ            雪 晩秋恋
九   ボーイズ・ラブ擦り傷に似てひりひりと     悠 雑恋
十     ジェットコースター直に降るよ        雪 雑
十一  念仏の寺ぬかづけば花吹雪          悠 晩春花
折端    森の巣箱にかかる絹糸          雪 三春

ナオ
折立  石臼で挽く粉豊(ゆた)なり春の川      悠 三春   千川上水いにしえの水車
二     市の立つ日は木靴を履いて        悠  雑
三   太郎冠者長崎に船来たるらし         雪  雑
四     どんな遅刻もすらり言い訳         悠  雑
五   神在に紛るるべくもないあの子         雪  初冬恋
六     この日のために寒の紅刷く         悠  晩冬恋  祝海老蔵・麻央婚姻届
七   初明り座敷に香る青畳             雪  新年
八     鳩出す奇術準備整う            悠 雑
九   本選で兄弟対決宿命か              雪 雑
十     手よりこぼるる珠の数々             悠 雑     閑話休題八犬伝
十一  盲ふれどおもひでの月堆(にほ)の上(へ)に  雪 晩秋
十二    ラジオに募る秋寂(さび)の歌         悠 晩秋   どどいつ投稿の方々   

ナウ
折立  蜂の仔と一升瓶の並ぶ店              雪 晩秋
二     メルカトル地図語る薀蓄             悠 雑
三   伯父百歳お洒落ステッキきらきらら        雪 雑
四     流氷来たと湾の便りに              悠 初春
五   舞ひ初むる花下影の夢朧              雪 晩春
挙句    佐保姫土を踏みし足跡             悠 晩春



連句ってどんなもの? こちらに書いています。
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by youyouhibiki | 2010-04-05 21:30 |  連句・歌仙 | Comments(2)


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