カテゴリ: ポール・クローデル( 6 )

長谷寺の牡丹

鎌倉の長谷寺へ行きました。
帰ってから、大正時代に奈良の長谷寺を訪れた
ポール・クローデルの『百扇帖』(山内義雄訳)を開いています。

e0098256_1321356.jpg

      白牡丹の芯にあるもの
      そは色にあらず色の思ひ出
      そは匂にあらず 匂の思ひ出

e0098256_1322875.jpg

      牡丹花 その真紅のいろ
      そは われにあってはるかに思考に先だつもの

e0098256_13234460.jpg

      わが 地の涯より来りしは
      初瀬寺の白牡丹
      そのうち一片淡紅の色を見んがため

e0098256_13252496.jpg

      君もしこの匂を知らんとならば
      すべからく目を閉ぢよ

e0098256_13261691.jpg

      目を閉づるとき 牡丹花曰く
      ここにわれ在り

e0098256_13273263.jpg

      目をひらくとき 牡丹花たちまち消えて無し
      その匂 かぎつくされてあますなく
[PR]
by youyouhibiki | 2013-04-19 12:10 |  ポール・クローデル | Comments(0)

試訳

交感
――エミリー・ディッキンソンに寄せて
         ポール・クローデル

渇きこそが水を産み
海こそが川を呼び醒ます
見よ 空の高みには
荒々しい大気がひしめいている
わが魂はそれを見いだす人のもの
あなたの両の眼はそのためのもの
私を在らしめるのはあなたの魂
わが過去の不在はそのためのもの
器こそが水を求め
雪こそが烏を呼びよせる


Correspondances
(d'après Emily Dickinson)
        Paul Claudel

C'est la soif qui a produit l'eau
La mer convoque ses rivages
Vois le ciel crépiter là-haut
De mille systèmes sauvages
Mon âme pour qu'on la voie
Vos deux yeux étaient nécessaires
Votre âme pour que j'y sois
Mon absence était nécessaire
Le vase a appelé l'eau
Et la neige le corbeau.


1939年、クローデル67歳、
外交官職引退当時の詩です。
好きなディッキンソンの名前につられて
読んでみました。
間違いがあるかと思いますし直訳でもないのですが、
クローデルの詩にはなかなか出会えないこともあり、
載せてみました。

( Poésie/Gallimard ''Poésies'' Paul Claudelより)


2013.8.20 追記:
この詩からインスパイアされたのだと思います。

水は 乾きが教えてくれる
陸地は 航海が教えてくれる
歓喜は 激痛が
平和は 戦いの話が
愛情は かたみが
鳥たちは 雪が
(E.ディッキンソン F1290 川名 澄訳)
[PR]
by youyouhibiki | 2012-03-23 23:14 |  ポール・クローデル | Comments(0)

ポール・クローデルとランボーの写真

林哲夫さんのブログ『daily-sumus』に
ポール・クローデルと、アデンのランボーと推定される写真が紹介されているので、
リンクさせていただきます。
http://sumus.exblog.jp/13251109/

そういえば、芥川の旋頭歌「越し人」が載っているこの「明星」
実はクローデルの詩(小品)が2つ載っていたので購入したのだった…。

その2つは近いうちに資料としてこちらに載せておこうと思ってます。


そしてランボーの写真。
(クローデルは、ランボーにインスパイアされて詩の道を歩びました…。)
こちらの方が興味ある方、多いかもしれません。

          *    *    *

余談ですが、先日の連句の会で発句をおおせつかり、出させていただいた句、

  銀輪に潦(にわたずみ)切る五月かな   きらら

は、清少納言『枕草子』209段「五月ばかり、山里にありく…」と
ランボーSensationへの、実はオマージュでありました。
[PR]
by youyouhibiki | 2010-05-05 00:58 |  ポール・クローデル | Comments(0)

見のがした「クローデル! 川口のジャンヌ・ダルク」

フランスの劇作家、詩人であり、大使として大正時代に日本に赴任したこともある
ポール・クローデル。ずっと大ファンで追っかけているのですが、
去年、川口市であった「二人のクローデル展」はとても素晴らしい企画展示でした。
その後もGoogleアラートに「クローデル」で登録してできるだけ情報を逃さないように
しているのですが、ちょっと情報の遅い今日のアラートでした。
見られなくて残念だったけど、こういうのがあった、ということで
こちらにも書いておきます。
再演のようだけど、再々演されるといいなぁ。。。

e0098256_12475229.jpg

モルタル劇場公演
「クローデル! 川口のジャンヌ・ダルク」

2008年11月22日(土)、23日(日)、24日(月・祝)

キューポラの町、川口に今でも稼動している現役の工場「芝川鋳造」。
キューポラの炎から物語は生まれ、フランスと日本、過去と未来の時空を結ぶ。
交差する複数の愛の物語。2007年の上演後、
好評につき、会場を現役の工場に移し、新しい物語が生まれる。

作・演出 : 今井 尋也
美 術 : 村信 保
音 楽 : 河崎 純
衣 装 : 永瀬 ふみ江
出 演 : 桜井 真樹子、リチャード・エマート、赤羽 さや香、五十嵐 正貢、
     入江 淳子、エイキミア、可児 明日香、北澤雅章、小鷲 順子、
     鈴木仁、弦弓 真理江、萩田あゆみ、平瀬 結以、松崎 淳、 吉松 章

作品について
−鋳型と鋳物、ポールとカミーユ、相反する表裏一体の合せ鏡から生まれる物語−

もともとこの作品は近年、川口市で開催された「二人のクローデル展」の展示内容
(ポールの直筆の書籍や詩、カミーユの彫刻)からインスピレーションを受けた今井尋也が、
ポール・クローデルの詩劇「火刑台上のジャンヌダルク」を参考にしながら、
川口市民劇の為に書き下ろした作品です。

舞台は複式夢幻能の構造を持ち、喜多流の米国人の能楽師リチャード・エマートが
旅の僧となって、川口に現れ、キューポラ工場に住んでいるという怪しき風情の女
(白拍子:桜井真樹子)に出会うところからはじまります。
旅の僧は、クローデルが大使館員として日本に駐留していた頃に書き溜めていた
「幻の物語」を探していた。
しかしそれは、関東大震災によって行方不明になったという。
キューポラ工場でその「幻の物語」の書物は見つかるのだが、
物語を読もうとすると中の文字が次から次へと消えていくという奇異な現象が起こる。
工場に居合わせた市民劇のメンバーたちは失われた物語を探して、
中世のフランスと現代の日本を旅するうちに、ポールとカミーユの幼少時代から、
カミーユが晩年を過ごした南仏の精神病院まで行くことになる。
そうして「幻の物語」が見つかるやいなや、川口の女は自分がジャンヌダルクの
亡霊だと告げて、火刑台の業火の悲劇を語り始める。

今回は工場の社長をはじめ、工場側の全面的な御理解と御協力の元、
役者、スタッフ、演出家が工場に度々足を運び、実際に工場の労働現場を体験し、
川口におけるキューポラ文化を捉えなおそうとしています。
このことは深く作品の世界観に影響してくることでしょう。
また、一般公募によって出演者、スタッフを川口の市民から募り、
老若男女、フレッシュな顔ぶれが揃いました。
川口市民劇にふさわしいメンバー構成になっています。

クローデルの描こうとしたジャンヌダルクの生き様、信仰に対するエネルギーは、
信仰からすっかり遠く離れた私たち現代人の心にも、きっとなにかを呼び覚ます力を
持つことでしょう。
私達はキリスト教の世界を賛美したり、容易に受け入れたりしようとしているのではなく、
神のいなくなった、この殺伐とした現代において、いかに近代人として生きていくべきか、
そんな問いにも答えようとしているのかもしれません。

この作品が、クローデルと川口市民、フランスと日本、中世と現代、キリスト教社会と
キリスト教以外の社会のささやかな橋渡しの役目を果たすことを願っています。

モルタル劇場代表
今井尋也
[PR]
by youyouhibiki | 2008-12-23 14:58 |  ポール・クローデル | Comments(0)

クローデルの仏訳詩集『DODOITZU』(どどいつ)

e0098256_0134214.jpg

図書館で借りたポール・クローデル全集『EXTRÊME ORIENT Ⅰ』に、
日本の小詩を訳した『DODOITZU』が収録されている。

芳賀徹氏の『ひびきあう詩心』(TBSブリタニカ)によると、翻訳されたのはクローデルが
退官した次の年(1936年)の夏で、11月には雑誌に載せられた。

その後、1942年、世界大戦のさなかに『百扇帖』がフランスで出版され、
終戦の年1945年に『DODOITZU』が出版された。

全部で26編ある詩は、ほとんどが英訳も付いているが、全集では原詩はわからない。
『ひびきあう詩心』に、原詩と、クローデル訳の芳賀氏和訳が数編載っているので、
少し引用させていただこうと思う。

     *

思い出す夜は 枕と語ろ
まくら物いへ こがるるに

  L'OREILLER
La nuit quand je ne dors pas
L'oreiller et moi l'on cause
Ecoute, petit oreiller!
Je l'aime! Je l'aime!

  THE PILLOW
At night when I think of him
My pillow and I we talk.
Listen to me, o little pillow:
I love him! I love him! I love him!

  枕
夜 眠れねば
枕とわれ 語りあふ
聞けよ 小まくら
「あのひとが好き あのひと恋し」

     *

こなた思へば 野もせも山も
藪も林も 知らで来た

  D'UN SEUL BOND
D'un seul bond
Je t'aime je suis venue
Le torrent et les montagnes
Les forêt et la compagne.....
Je ne m'en suis pas aperçue!

  IN ONE BOND
Dear love I have come!
Forest and hill's over
Roaring wave and snow:
Dear love I saw none.

  一っとびで
あなたが好きで わたしは来たの
瀧つ瀬も 山も
森も 野も
なにひとつ 目にはいらずに


     *

また、ちゃんとした原詩は(私には)わからないけれども、このような訳詞もある。
(火のないところに。。。)

  FEU SANS FUMEE
Connaissez-vous ma bien-aimée
Ce feu que brule sans fumée?

  THE FIRE WITH NO SMOKE
Secret delight and pain
A fire without a stain.

     *

  PARTOUT!
La lune au levant
L'étoile au couchant
La lune là-haut
L'étoile dans l'eau
Sens dessus dessous
Mon amant partout!

  EVERYWHERE
Moon rising
Star setting
Moon all over
Star in water
Topside down
--- I love my own!


英訳では原詩に忠実に、というより、詩のここちよさに重きが置かれているように思う。
『ひびきあう詩心』によると、原作をクローデルが解釈して翻訳をしたものもあり、
それらはいかにもクローデルらしいのだが、それはまた機会を改めて。
また、クローデルは、日本語から直接訳したのではなく、すでにあった仏訳を
さらに仏訳しているとのことである。

上の画像は、クローデルの『聖ジュヌヴィエーヴ』(富田渓仙画)
http://www.paul-claudel.net/oeuvre/japon.html
[PR]
by youyouhibiki | 2007-10-05 00:19 |  ポール・クローデル | Comments(2)

ポール・クローデル全集

近くの大学図書館で、洋書を借りることができるようになった。

さっそく借りたのは、ポール・クローデル全集(ŒUVRES COMPLÈTES DE
PAUL CLAUDEL)その他。

特に興味を惹くのは『EXTRÊME ORIENT』の2巻である。

さっと目を通してみると、
『La Poésie française et l'Extrême-Orient』
『Connaissance du Japan』
『Adieu, Japon』
『DODOITZU』
など、日本語訳が出ておらず、かねてより読みたかったものを
読むことができる。

また、ガリマールの選集には、クローデルの20歳代から晩年までの
日記(Journal)全2巻があり、特に在日中の部分は興味深い。

ところで私はいま、「読むことができる」と書いたが、
実を言うと、フランス語がさほどできるわけではない。
それなので、少しずつ読むことになりそうである。

これらの本のおかげで、私は一生、退屈しないですむだろうと思っている。
[PR]
by youyouhibiki | 2007-09-29 18:54 |  ポール・クローデル | Comments(0)


本のこと、詩歌のこと、美術展のこと、and so on...


by youyouhibiki

プロフィールを見る
画像一覧

S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

about me

カテゴリ

全体
美術
詩歌(下記以外)
 連句・歌仙
本(下記以外)
 装幀・デザイン
 アルスのノートと本
 平安~鎌倉の文学
 芥川/片山廣子
 ポール・クローデル
 ウィンター/ディキンソン
音楽・演劇・映画
旅・散歩(下記以外)
 練馬/東京散歩
 鎌倉散策
 花遍路 豊島八十八箇所
写真
仕事
思う・考える
コルベ神父
つくる
衣食住
Dogs & Cats, etc.
子ども時代
未分類

検索

以前の記事

2017年 07月
2017年 06月
2015年 07月
2015年 01月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 01月
more...

記事ランキング

最新のコメント

コメントありがとうござい..
by youyouhibiki at 23:51
コメントありがとうござい..
by youyouhibiki at 22:54
古書通さま お知らせあ..
by youyouhibiki at 14:08
昨日、小町通に行きました..
by 古書通 at 08:31
dizire_san ..
by youyouhibiki at 00:04

画像一覧