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「渡辺千尋 復刻の聖母」展

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今日は、練馬区立美術館でやっている「渡辺千尋 復刻の聖母」展に行ってきました。
「古い銅版画を復刻した」ということしか知らないで行ったのですが、
展示によると、このような経緯だということがわかりました。

1)
元のものは長崎のセミナリヨで、二十六聖人殉教のころ作られた
日本初めての銅版画(エングレーディング)であり、
セヴィリアの大聖堂のマリア像を模しています。
絵の下の文字最後のところに(im Semo Iapo 1597 日本のセミナリオ1597 とあります)。
もう一枚、「聖家族」も当時のもの。

2)明治になって長崎で隠れキリシタンと出会ったプチジャン神父が、
ローマに一度戻る途中、マニラでこの二つの銅版画(刷られたもの)と出会います。
それを、ローマ教皇ピウス9世に献上したところ「これは日本に戻るべきものだ」
と言って返されたのです。
「セヴィリアの聖母」の下の余白に手書きのラテン語で
「Manstre te esse Matrem(汝の母たることを示せ)」、
「聖家族」の下に「Japoneneses benedicat Virgo Maria cum Matre et
Prole Pia(日本人を祝福し給え、童貞マリアおよび母仁慈(じんじ)なる子と共に」
と書き添えて。

3)
残念ながら大正時代ころ、「聖家族」は半分以上が破損した
(水かカビか何かでかな? 写真製版のものが展示されています)が、
現存している「セヴィリアの聖母」(これも展示は写真製版)を、
長崎出身で「ビュランの使える」渡辺千尋氏に復刻依頼が来ます。
氏は、二十六聖人殉教のあとを京都から長崎まで歩いたあと、復刻されました。

4)
今回の展示は、渡辺千尋氏の「セビリアの聖母」を軸とした回顧展でもあります。
16世紀の原画も展示されている。前衛的で幻影的な銅版画。
小沢昭一の本など、見たことのある氏の装丁した本も。
この作業によって「美術表現の核のとなる内なる何かを見出した」と、
パンフレットにも書かれているように、この復刻の前とあとでは、
やはり何かが違っているように思えました。

私は、子供の頃から聞いていた殉教の話や、
長崎でのプチジャン神父と切支丹との出会い、
コルベ神父のこと、原爆のことなどを聞いていたからか、
いろんなことが一度に胸に迫るほどの感動を覚えました。
2月9日まで。無料です。
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# by youyouhibiki | 2014-01-28 20:50 | 美術 | Comments(0)

謹賀新年

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あけましておめでとうございます。

3日に、新年早々の東博詣りに行ってきました。

ちょうど和太鼓の演奏時間となり、
心身ともに響く太鼓の周波数に春を感じながら
聴くことができました。

本年もどのような素晴らしいものに出会えるか、
楽しみです。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

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# by youyouhibiki | 2014-01-05 21:14 | 美術 | Comments(0)

歌仙 冬空やの巻

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歌仙 冬空やの巻 平成二十五年十二月六日


冬空やさえぎるはなき鳥の声   きらら

  干す大根の白さまぶしき    亦紅

紙吹雪杜の都に舞い散って     次世

  栄枯は移るこれが徒し世    翳雉

ふりむけば夕轟きに出ずる月    八感

  蜉蝣尻を立てて湯の縁     暗吾


棚曇り爪紅よ鹿島立ち        感

  転校生の言葉真似する     優梨

篦にして木あり竹あり象牙あり    感

  ひそかに籠る窓のない部屋    き

永田町超過勤務も辞さずして    梯梧

  巻く水飴の切れにくき糸     吾

梅雨明けの月に拍子木打ってくる   雉

  足踏みミシン汗をかきかき   幸子

鼻歌にもう恋などはしないとか    吾

  上手に使う本音建前       世

花八分もと玉ノ井のこの辺り     雉

  裾の乱れは春荒れのせい     き


ナオ

内縁というの好きやわ目刺し焼く   吾

  吉備津の釜は鳴る気配なし    梨

ひげ面のツキがたよりの馬券買い   世

  三色ペンの赤ばかり減る     梨

自由また平等愛の旗の下       幸

  無筆論客集う居酒屋       雉

剥製の牡鹿の角のうすぼこり     吾

  誰にも言えぬ臨死体験     桃籬

笑という文字どことなくほがらかだ  吾

  親馬鹿ならぬ叔母馬鹿となる   梨

静もれる合掌部落寝待ち月      桃

  茎に似合わず太き自然薯     世


ナウ

人の輪の踊りの列となりて過ぐ    き

  故郷はあればあるで愛しき    吾

ふと見れば飛行機雲のまっすぐに   雉

  紋白蝶と語る放課後       梨

記念樹の今や盛りと咲ける花     き

  三々五々との遊びの子ら     亦


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# by youyouhibiki | 2013-12-22 12:40 |  連句・歌仙 | Comments(0)

冬の黄昏書局まで

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啓祐堂で開かれている戸田勝久さんの個展に行きました。
戸田さんは、ふだん神戸を中心に活躍していらっしゃいますが、
毎年暮れに、東京で個展を開かれます。
今回は、「黄昏書局の冬」という見立てで、
黄昏書局の主人がつくる本も並べられていました。

まず絵画には、雪の夜の黄昏書局の絵や、
本をモチーフにした絵画などがあり、どれもこれも
見飽きないものばかり。
今日は戸田さんもいらっしゃって、お話しすることができました。

実際に装丁を手がけられた本のほかに、
「2回も本をだめにしました」というほど読み込まれた
蕪村書簡集や荷風俳諧集、風立ちぬや中也詩集、
ペレアスとメリザンドなどの文庫本に、
一枚しかないオリジナルの絵のカバーがつけられていたり、
大きな絵を縮小コピーしてカバーにされていたり
(絵を買った方にはこの本がつけられる)、
「本」「本」「本」の個展でした。

実は今回、ちょっとした古書を数冊お持ちして、
それらについてもお話がはずんだのですが、
戸田さんが、やさしい神戸紳士の口調で、
「昔の人はいい本をつくってますね」とおっしゃったあとに
「だから私たちも、いい本をつくって残さないといけませんね」と
付け加えられた言葉、また、
「だから中島さんもいい本をつくってくださいね」には
襟を正さずにはいられませんでした。

来年に向けて力づけられつつ、
満ち足りた思いで帰路につきました。

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こちらはドイツを中心に売られていて日本では個展のときしか
購入できないバインダーとポストカード。
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# by youyouhibiki | 2013-12-21 22:03 | 本(下記以外) | Comments(0)

『ルワンダ中央銀行総裁日記』

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『ルワンダ中央銀行総裁日記』(服部正也、中公新書)について、
先日某所で「いい本です」とか「名著です」とかしか言えなかったので、
家に帰って、改めてこの本のことを考えました。

1965年に、日銀の服部正也氏は、ベルギーから独立したばかりのルワンダの、
中央銀行総裁になります。
ということはつまり、日銀の総裁に他国の人がなる、みたいな感じのすごいことです。
どうしてそうなったかというと、ルワンダにはまだ人材がなく、
今まで支配していたベルギー寄りでも米国、ソ連よりでもない誰かが
ならなくてはならないという、当時の国際的力関係によるところが多かったようです。

ルワンダに渡って、服部氏は、外貨管理から国内の経済再建、通貨改革、
公定歩合などなどすべてをどうするか、決定していかなくてはならないのですが、
いったい何を根拠に決定するのか?? 
amazonには

「本書は物理的条件の不利に屈せず、様々の驚きや発見の連続のなかで、
あくまで民情に即した経済改革を遂行した日本人総裁の記録である。」

と書かれていますが、それではここでいう「民意」って何なのか、
それをどうやって量ったか、は、この本に折にふれ書かれていますので、
ぜひ読んでみてください。

「平和といい、貿易といい、援助というものは、究極的には国民と国民との関係という、
いわば人の問題である。この人の面を無視して進められる国際関係の基礎は、
きわめて脆弱なものである。」(本文より)

服部氏は、1971年に帰国するまで6年間、ルワンダ中央銀行の総裁を勤め、
国の経済の土台をつくり、ルワンダ人の後継者を育成して帰国します。

この本は読むたびに、働いたり生きたりする姿勢を正される、
私にとって「出会ってよかった」一冊です。
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# by youyouhibiki | 2013-12-19 23:14 | 本(下記以外) | Comments(0)

鹿が…

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フランスから来られた方を案内する方に便乗して、
雨の中、中禅寺湖へ行ったときの写真です。
  
一足お先に帰ろうとしていたら、
小さなお堂がある脇に、
なんと野生の鹿がいるではありませんか。
  
「あ、鹿だ!」と思っていると、
一番若い子が興味深そうに
「あ、人間だ!」

少し前まで近づいてきました。
奥でお母さんがやさしそうに見ています。

写真をそっと取って、もう少し近づこうと思ったらピョンと後ずさりして、
お母さんたちのほうへ逃げていってしまい、
それからみんな山の方へ帰ってしまいました。

わぁ〜、バンビの世界…。

(生まれて一番最初に見た映画が、バンビです。ええ。)
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# by youyouhibiki | 2013-09-15 10:40 | 旅・散歩(下記以外) | Comments(0)

ファッションと経済と、編集者の情熱と

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今日は練馬区立美術館でやっている 「鹿島茂コレクション3 モダン・パリの装い 
19世紀から20世紀初頭のファッション・プレート」展のギャラリートークがあり、
鹿島茂先生のお話を聴きました。

先生のお話から自分用memo:
19世紀。
フランス革命の後、それまでは階級によって定まっていた服装が自由になった、
ところが革命で処刑しちゃっているから、ファッションリーダーだった
王妃さま、王女さまがいない!!
→そこでモード雑誌が登場。名編集者も登場。

ジュルナル・デ・ダム・エ・デ・モード 1797年創刊
編集者は元・修道士のピエール・ド・ラ・メザンジェール
クチュリエ+画家+彫り師+刷り師+彩色家の共同作業で良質なファッションプレートが
作られ引っ張りだこに。
舞踏会の時代ともなり、仮面舞踏会用に歴史的衣装や民族衣装のプレートなどもつくられる。

ラ・モード 1829年創刊
エミール・ドジラルダン編集 その後、雑誌を売却。
彼がいなくなると雑誌もすたれる=編集者がいかに重要であったか。

鹿島先生は、バルザックの研究から、彼が連載をしていた
ジュルナル・デ・ダム・エ・デ・モード に関心を持つようになったのがはじまり、
とのこと。
オークションのお話などもちらと伺う。
今回、1階に展示のランテガヴァルニらはこれらの雑誌で人気を博していた。

20世紀
その後、ファッション雑誌が形骸化してしまう時期の後、
100年後、2012年頃に黎明期のファッション雑誌を手にとった人たちが
次々に新しい雑誌を出す。
今回のメインのルパップマルタンマルティら若手画家に、
クチュリエの服を見たままではなく自由に絵を描かせ、
最高の素材で雑誌をつくる(お札に使う和紙を使用、etc.)。

→第一次世界大戦に一度途切れ、終戦の1918年ののち、1920年代の黄金期。
鹿島先生曰く、1920年代はすべてが自由ですべてが許された稀な時代。
それはルネッサンンスに並ぶ、とのこと。
このファインアート、集団製作の時代に、集団の無意識が
クリエートの方向に向った(これは、その時には分からなくて
後になって気づくことなのだけど)。

そして1929年、ウォール街の株暴落。無駄にお金を使うお金持ちがいなくなり、
集団製作は不可能に。終焉。
鹿島先生のお話は、漫画界や映画界の歩みを例にとられたり、
経済と文化の関係を話されたり、とても楽く興味深かったです。

印税の関係で、展示はできても印刷はできないものが多いので
「こういうものを展示しています」とあまり広告できないのだそうですが、
素晴らしいものばかりですので、
練馬区立美術館にお近い方はぜひ足をお運びください。
印刷関係者、書籍関係者、本が好きなみなさまには特におすすめです。

おまけは私のツボ:
『貴社の栄光と商品の高品質に常に配慮せよ! 瑕瑾(かきん)なければ、
貴社の利益は社会全体の利益となるにちがいない』
1924年、コクトーの惹句とマルタンの挿絵で、
1 広告代理店 2 コピーライター 3 デザイナー
4 石版工 5 彫師 6 写真製版工 7 校正刷り
8 植字工 9 印刷工 10 印刷機 11 クライアント
それぞれを描いている傑作です。



(上の写真はマルティの絵はがき)
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# by youyouhibiki | 2013-07-27 20:34 | 美術 | Comments(0)

青い鳥

Le bonheur est un grand puzzle
dont nous possédons déjà toutes les pièces...
                《Christophe Chenebault 》


twitterで見つけた言葉です。

「幸せは壮大なジグソーパズル、ピースはすべて手許にある」

みたいな感じでしょうか.

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この言葉のことを考えていたら、
わが家近くのビワの木に青い鳥を見つけました。
オナガのようです。

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思わずiPhoneで写真撮ったのですが、木は高いし夕方だし…。

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それにしてもこのビワの実、毎年たわわになるので気になっていました。
美味しそうだな…と思いながら眺めていたのですが、
お味はこのオナガ君が証明してくれているようです(^^)。
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# by youyouhibiki | 2013-07-14 23:37 |  練馬/東京散歩 | Comments(0)


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