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『死と復活 ─「狂気の母」の図像から読むキリスト教』

著者池上英洋氏はフィレンツェなどイタリアで、
母が子どもを殺し、それを聖人が生き返らせるという
15世紀の画像を見る。
そのことが発端となって、キリスト教における
聖餐、生け贄、のみならず、生と死、復活というテーマを
ギリシャ劇、エジプト神話、旧約聖書、新約聖書、
聖杯伝説、魔女伝説、聖人伝説、錬金術、グノーシスなどなどを
探りながら解き明かして行く。

途中、すごく驚いたのが、
「第四章 子殺しの魔女とケルトの大釜」なのですが、
中世で学者(医師)は女性に触ることができなかった、
なので、お産は産婆などにまかせていた。
当然、幼児の出生率は下がる。
男性はその原因を産婆=魔女のしわざと考えた。
また、女たちに果たして子どもを生かす意志があるか、
ということについても疑心暗鬼であったという。
「そういう『対女性観』があったなんて…」と、ちょっと驚きでした。

西洋美術史・文化史の本なので、
そこからどうやってキリスト教の生命尊重の考えが圧勝したか
などについて書は書かれていませんので、
おいおい調べていこうと思っています。

ほんとうはもっと、読書会とか講義とかで
ゆっくり時間をかけて読みたい(学びたい)本だと
思います。

蛇足ながら、ポール・クローデルの『乙女ヴィオレーヌ』と
それを書き改めた『マリアへのお告げ』は、
多少亡くなった子どもを遁世した彼女の伯母ヴィオレーヌが
生き返らせるという内容なので、この本のテーマとも
似通っているかとも思いました。

さらに蛇足ですが、
最近、本を読めなくなって困っています。
理由としては仕事でモニタとにらめっこしていたから、
というのが大きいだろうと思っていますが、
若い頃は図書館で本を10冊借りて、その週のうちに返していた私、
もしかして認めたくないけど老化現象??
内容が濃いといえば濃かったのですが、
この本は、2月に買ってやっと読み終えました。
『死と復活 ─「狂気の母」の図像から読むキリスト教』
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480015921/
by youyouhibiki | 2014-06-02 23:30 | 本(下記以外)


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