『ファッションとアート 麗しき東西交流』展を見て

e0098256_14574348.jpg

アリス・ベーコンの『明治日本の女たち』(みすず書房)は、渡辺京二の『逝きし世の面影』がお好きな方ならおすすめの本で、1888年と99年に来日した女性がつぶさに見た当時の日本、宮廷から農村までを観察し記録した本です。

昨日行ってきた『ファッションとアート 麗しき東西交流』展で見た幕末〜明治のファッション』を見ながら思い出したのは、この『明治日本の女たち』の一節でした。(以下引用:)

「将軍家が滅亡し、城と大名屋敷がなくなると、日本人のファッションもがらりと変わってしまった。有閑階級の豪華な生活がなくなると、華麗な花柄の着物の人気は廃れてしまった。もはや舞台以外で、きれいな刺繍をほどこした優雅な着物を見かけることはない。女性たちが季節ごとに装いを変えなければならないので、
自然の花そっくりの刺繍をほどこした着物を常に買いあげていた日本各地の大小の宮廷も消えていった。日本に来た外国人は、必ずと言ってよいほど知り合いの日本の女性に『どうして昔のような、美しい刺繍をほどこした豪華な着物を着ないのですか』とたずねる。答えは決まって、「もう大名屋敷がありませんから」である。日本女性の衣装の変化を説明するには、これで十分だと思われている。(7 城と屋敷での生活)
(もっとも著者はここに注を入れ、それは1890年の時点のことで、商業と産業が発展を遂げた10年後には、再び刺繍をほどこした着物が流行しつつあった、と述べている。)

明治維新のあとつまり従来の発注者がいなくなってから世の中がある程度落ち着いて新たな発注者が出てくるまでのたいへんな時代の様子を、女性の着物が見事に言い当てているような気がするのですが、今回の展覧会では、そのような時代にあって海外に隘路を求めた人々、商店、商社などのプロダクツが最初に展示されていたのが印象的でした。

さらに欧米に目を向けると、それまでコルセットで体型を整形するファッションから、それに比べるとかなりルーズな着物(今の私たちは、着物のほうがきついと言ったり、あるいは当時の着物の着方も違ったりですが)を取り入れたファッションへと変化させ、さらにまた1900年代に入ると、畳めば平面になる着物のようなドレスを、体(体型)の上にそのまままとうスタイルが流行したこと。

逆に日本では、ジャポニスムとして欧米で咀嚼されたものがその後、逆輸入され、もてはやされるという、まさに「麗しき東西交流」が当時なされたあたりを丁寧に展示していました。

以前、世田谷美術館で『ファッション史の愉しみ』展を見たのですが、コルセット→ゆったり の変化を宣伝する折、日本版画の影響を取り入れたポショワールを、それ以前のファッションプレートの主流だった銅版画のかわりに戦略的に用いたという解説を聞いたのですが、このようにファッションの流れを見ると改めて、ジャポニスムという時代のうねりが感じられるように思いました。

http://yokohama.art.museum/special/2017/fashionandart/

e0098256_14575274.jpg

by youyouhibiki | 2017-06-24 14:58 | 美術 | Comments(0)


本のこと、詩歌のこと、美術展のこと、and so on...


by youyouhibiki

プロフィールを見る
画像一覧
更新通知を受け取る

S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

カテゴリ

全体
美術
詩歌(下記以外)
 連句・歌仙
本(下記以外)
 装幀・デザイン
 アルスのノートと本
 平安~鎌倉の文学
 芥川/片山廣子
 ポール・クローデル
音楽・演劇・映画
 ウィンター/ディキンソン
旅・散歩(下記以外)
 東京散歩
 酉の市/樋口一葉
 鎌倉散策
 花遍路 豊島八十八箇所
写真
仕事
思う・考える
コルベ神父
つくる
衣食住
Dogs & Cats, etc.
子ども時代
未分類

検索

以前の記事

2018年 07月
2018年 06月
2018年 03月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 07月
2017年 06月
2015年 07月
2015年 01月
2014年 07月
more...

記事ランキング

その他のジャンル

画像一覧