読んだ本のメモ

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2016年1月刊行の『キリスト教と戦争』(石川明人、中公新書)を再読したので、
メモします。
特に「第一章 ローマ・カトリック教会の説く『正当防衛』」と
「終章 愛と宗教戦争」は、世界情勢の変化により、
以前読んだときよりも内容が響いてきたように思えました。

「第一章 ローマ・カトリック教会の説く『正当防衛』」によると、
①バチカンは正当防衛を認めているのに対し、
②日本のカトリック司教団から出される声明文では
「正当防衛や正戦論的考えは皆無」であり、
「戦争や軍事に関するものはとにかく全面的に否定するという、
 素朴な姿勢で貫かれている」。
③これらの文書は一般信者に向けて書かれたものなので、
「理解が困難な部分はほとんどないが、『戦争』や『正当防衛』など、
 基本的概念についての定義や再検討はなされていないため、
 疑問に残る部分も少なくない」。
④特に「正当防衛」についてはクラウゼヴィッツ『戦争論』第六篇「防御」の
 「『戦争』概念は攻撃ではなくむしろ防御によって発生する」という指摘を挙げます。
 クラウセヴィッツによれば、「攻撃」側の目的とするのは、相手の領土や物品の略取であって、闘争そのものではない。戦わずにそれらを獲得できるなら、それにこしたことはない。したがって彼は「侵略者は常に平和を愛好する」とさえ表現する。それに対して、「防御」側の目的は、純粋に相手を撃退すること、つまり戦闘に他ならないので、結局「戦争」概念は防御とともに発生し、「戦争に対する心構えは、侵略者の側よりもむしろ防御者の側にある」というのである。(p.41)
また、別の箇所では、第二バチカン公会議で採択された
『教会における司教の司牧任務に関する教令』で
「軍隊に専属の聖職者である従軍チャプレンを設置することについても
積極的な言及がなされて」いるのに対し、
日本の司教団からはそのようなメッセージが皆無であることも指摘しています。

また、次のような指摘も重要であると思われました。
戦争は極めて複雑な自称なので、平和については戦争そのものに関する十分な考察のうえで議論されねばならない。同じ「戦争」であるからといって、戦国時代の戦いを念頭に太平洋戦争について議論しても無意味であるように、太平洋戦争のイメージだけで二一世紀の戦争は語れない。戦争は時代とともに常に変化していくので、私たちは常に新たな軍事・戦略環境を念頭におく必要がある。
先日、プロテスタントの友人と少し話をする機会があったのですが、
その方の所属する教会では、60数年前に牧師夫妻が教会を設立するときに
「他の要素が混じる可能性があるので、教会としてチャリティーは一切しない」という
方針とされ、現在もそうなのだと聞きました。
もちろん、信徒は個々にチャリティーをするだろうし、
政治的な発言や活動は教会以外でどうぞ、というスタンスであるようです。
そもそもカトリック司教団の現在の方向性は
「汝の隣人を愛せ」という言葉から来ていることを思うとき
(このほかにも、戦前の「戦わなかった?」教会への批判や言論弾圧に対する危惧、
などが教会の政治的言及の源になっていると思われますが)、
その教会の方針を羨ましく思わずにはいられませんでした。

(私自身は、教会が教会として政治的発言をすることに対して、
それによって切り捨てられる人がいるのでは? という危惧を抱きます。
例えば原発事故の折の反対意見表明で、原発事業に従事していた方々やそのご家族は
行き場を失っていないでしょうか?
Aについて賛同することは、Bを主張する人を否定することになるのではないでしょうか?
そのような疑問が頭をもたげます。)

本書ではさまざまな点に言及しつつ、終章に至ります。
最後のセンテンスをここに引用したいという欲求をこらえて、
あとはどうぞ読んでください、と申し上げたいと思います。


by youyouhibiki | 2017-09-18 00:34 | 思う・考える | Comments(0)


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