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『平家物語』をなんとか読み終える

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堀田善衛の『定家明月記私抄』を読んだり京都・鹿ヶ谷に行ったりするうちに
『平家物語』を読んでみたくなったのが10月の末。
読み始めたら面白くて止められなくなり、とうとう先週読了した。
(後半はかなりとばし読みしたけれど。)

どこが面白かったかというと、

1)文章が簡潔で的確
人を語るには、もしかしたらエピソードが一つあればいいのかもしれない。
どのようにして亡くなったかは、その人の最大のエピソードだし、
死の場面でなくても「この人は。。。」というエピソードは必ずある。
それが簡潔で的確に書かれている。

2)いまに通じる生死観や人生観
(武士の)死の美学が培われたのは、おそらくこの頃からだろう。
忠臣蔵や講談、浄瑠璃などと同じような「ツボ」を感じながら読んだ。
(それにしても、『日本残酷写真史』(下川耿史・著)を読んだあとでこれを読むのは
リアルでかなりきつかった。首実検をしなくてはならない、というのは分かるのだけど、
あまりにも数が多い。ただ、それも含めての生死感、人生感なのだ、
という思いは強くした。)

3)海のいくさであること
私は、平家は都を出てから西に下って壇ノ浦の合戦になったのだと思っていたが、
実際には九州に行って追い出されたりして、4年もの歳月を経ている。
その間、水際を転々としたし、いくさの場面も水際や海である。
厳島神社、壇ノ浦など以前から海というイメージはあったのだが、
今回読んでみると、途中から自分が波打ち際にいるような不思議な気持ちになった。

今回は、とにかく全体像をつかもうと思って読んだのだけど、
次はゆっくり文章を噛みしめながら、解説も読みながら読んでみたい。

それにしても、日本史にうとい私は、式子内親王の伝記を読んでも
以仁王について知らなかったし、『建礼門院右京太夫日記』を読んでも
資盛について知らなかった。
今まで点の集合でしかなかったことが少しずつ、線で結ばれていくのは面白い。
by youyouhibiki | 2007-12-12 22:30 |  平安~鎌倉の文学


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