人気ブログランキング | 話題のタグを見る

『私、ジョージア』とジャネット・ウィンター自身のこと

『私、ジョージア』とジャネット・ウィンター自身のこと_e0098256_21202627.jpg

『バスラの図書館員』で、ジャネット・ウィンターJeanette Winterのことを知った私は、
さっそくほかの本も読みたくなりました。
『私、ジョージア』という絵本については、以前からみすず書房が絵本出しているんだ。。。
くらいの認識しかなかったのだけど、実はウィンターが、画家のジョージア・オキーフの一生を
がいている絵本でした。
(本文はすべて、オキーフの言葉を引用してやさしい言葉で構成されているそうです。)

わたしがしたことは、「人のしないことだった」
妹たちはサッシュ(飾りおび)を付けた。--わたしは着けなかった。
妹たちは長くつしたをはいた。--わたしははかなかった。
妹たちが、髪を3つ編みにしたとき、--
わたしは、黒い髪をほどいて、風になびかせた。

…美術学校をでると、わたしは
ひろい世界のなかへ、じぶんからふみだしたのだった。
じぶんのかきたい絵を、わたしはかきたかった。
              『私、ジョージア』(長田弘訳/みすず書房 より)
やがてオキーフは、テキサスの大平原で絵を描きます。
空、夕日、動物の骨。
摩天楼のてっぺんにも住んで、絵をかきました。
大きなカンバスにおおきな花を! もちろん摩天楼も!
それからニューメキシコに行き、砂漠の中でひとり寝泊まりして
絵をかきました。動物の骨を、空を、山を。98歳で亡くなるまで。

この本のカバー見返しには、このように書かれています。
「どんなときにも『ほんとうに生きている』と感じられるような生き方をもとめて、
じぶんをゆずらなかったジョージア・オキーフの肖像を、(この本は)
色彩のよろこびをとおして鮮やかにつたえる、まったく新しい絵本の伝記」

そう、まったく新しいのです。今まで、クリエーターの「創作の秘密」を
かいた絵本ってあったでしょうか? 
絵本だけでなくて「書物」にもなかったような気がします。

     *

というわけで、ジャネット・ウィンター自身に興味を持った私は、
最近になってウィンターが自分自身について話しているサイトを見つけました。
http://www.fsgkidsbooks.com/authordetails.asp?ID=Winter


(意訳)
私の両親はスウェーデンからアメリカに移住して、シカゴに住み、
そしてそこで私は生まれました。私たち3人は(私は一人っ子でした)、
アパートメントの3階に住んでいました。
私の寝室から木々の向こうに見える景色を眺めながら、
私はぼんやりといろんなことを想像するのでした。

私は今までずっと仕事をする場所から「何かを眺められるように」してきました。
今は、ニューヨークの仕事机から、街全体を見ることができます。
テキサスでは、丘や砂漠が、メーンでは高い松林や草原が見えます。
仕事をしながら窓ごしに外を眺めることが、私の心と想像力を
そうありたいと思う高みに連れていってくれるのです。

子ども時代、私は大叔父さんからとっても大きな影響を受けました。
彼は家の塗装をするのが仕事でしたが、さもなくば「アーティスト」でした。
そしてなんというアーティストだったことでしょう! 彼は、キャンバス、はがき、
服、装飾のある壁、床……すべてのものに描きました。
木を彫って像を造り、それに色をつけました。
コンセルティーナという楽器を弾いたり、ハローウィンの仮面を
トランクいっぱい持っていたりもしました。
そして蒐集した古い版画がいっぱい詰まった箱も持っていて、
私はそれを何時間でも飽きずに見ていたものです。

漫画や図書館の本は、両方とも同じくらい、視覚を育てる基礎になりました。
リトル・ルルやヘンリーやディズニー漫画がお気に入り惟でした。
Lois Lenski, Elizabeth Orton Jones, Wanda Gág,
Maud and Miska Petersham, Robert Lawsonらが
私の好きなイラストレータでした。

バレリーナになりたいという夢が私の頭によぎったごく短い時期をのぞくと、
私はいつもアーティストになりたいと思っていました。
お話を物語る絵を描きたいと思っていたのです。でも
大学に行って、ケート・グリーナウェイの絵本をはじめて見るまで、
子どもたちのために本をかこうとは思っていませんでした。

最も重要できちんとした美術の授業は、シカゴ美術館で受けた
高校生用土曜日クラスと夏季クラスです。
ひとりの特別な先生、ジェーコブソン先生が、どうやってものを見て
どうやって描くのかを教えてくださったのです。
大学では絵画、デッサン、版画、彫刻を学びました。
イラストを描くことと本を作ることについては独学です。

原始的で純朴な絵をみると、それが語っているものがみえてきます。
溌剌として精気あるメキシコの民芸品を見ると、ワクワクしてきます。

私の本はほとんどが芸術家についてかいたものです……有名であっても、無名であっても。
多くの作家や画家は、ひとつの本、あるいはひとつの絵をさまざまな手法でかいている、と
言われることがあります。

アーティストになろうとしてすくんだこと……子どものときにどうやったら
「ちゃんとした」アーティストになれるかと混乱したことがおそらく出発点になって……
私の本の中でそのプロセスを解明しようとしているのかもしれません。
私は、書いたり描いたり、踊ったり歌ったりしようとする力は
同じところからきていると思うのです。
私たちはただ夢を満たすための経路を、見つければいいだけなのです。


ジャネット・ウィンターはニューヨークに夫であり画家であるロジャー・ウィンターと
暮らしています。二人の息子ヨナとマックスは、ふたりとも詩人で、
同じニューヨークに住んでいます。
by youyouhibiki | 2008-01-26 21:53 |  ウィンター/ディキンソン


本のこと、詩歌のこと、美術展のこと、and so on...


by youyouhibiki

S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

カテゴリ

全体
美術
詩歌(下記以外)
 連句・歌仙
本(下記以外)
 装幀・デザイン
 アルスのノートと本
 平安~鎌倉の文学
 芥川/片山廣子
 ポール・クローデル
音楽・演劇・映画
 ウィンター/ディキンソン
旅・散歩(下記以外)
 東京散歩
 酉の市/樋口一葉
 鎌倉散策
 花遍路 豊島八十八箇所
写真
仕事
思う・考える
コルベ神父
つくる
衣食住
Dogs & Cats, etc.
子ども時代
未分類

検索

以前の記事

2018年 07月
2018年 06月
2018年 03月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 07月
2017年 06月
2015年 07月
2015年 01月
2014年 07月
more...

記事ランキング

その他のジャンル

画像一覧