【メモ】『日本語に探る古代信仰』
『日本語に探る古代信仰』(土橋寛・中公新書)、返却期限が近づいてきたので、
読んだことの個条書きです。
日本古代(というのがどの時代なのかよく分からないが、平安朝以前)の信仰について:
【タマ】
霊魂=タマ
=遊離魂のことではなく、身体霊としての霊力、生命力
魂振り=タマ(生命力・霊力)を振り動かして活力を与える呪術
呪術といっても、たとえば祝い歌=願望の実現のための呪歌 など
カゲとタマは同義語
カゲ=天地の神や天皇の霊力
伊勢へのオカゲ詣り、おカゲさまで
言霊(コトダマ)とは、言葉の働きを実体化したもの
タマ(シヒ)はすべてのものに存在し、人間に重要な関係を持つ
樹木、鳥、蛾、雲、陽炎、山、川、太陽
(命、世などにかかる)枕詞のタマキハル=霊剋ル=生命力がすりへる、尽きる
タマチハフ…チとは霊力のこと
タマシヒ…ヒは霊力、タマのヒ 霊力、霊威
玉の緒=魂の緒
転じて、玉をつないだもの(玉の緒)が生命力の強化になると考えられた
御霊の振ゆ(ミタマノフユ) が宗教の原点
榊などを振るわせることで魂を振る
【イ】
イノチ イブキ(息吹き)…気息と生命が同一視された
イ=生命力、霊力
発生した言葉……イ、ユ 斎槻(イツキ)、生太刀(イクタチ)、祝う(イハフ)、忌む(イム)
魂振りのために行われたこと:
花見、山見…花や山を見ることで生命力を強くする
森=守り
花や樹の霊力→のちに活け花(仏前などに供える)
槻(けやき一般)は特に生命力が強いと思われていた
白鳥、鷺、白馬なども見ることで霊力が上がるとされた
(白鳥神社など祀られるようになった)
「見る」ことに対する恐れ、あるいは祓い
→のちの歌舞伎「にらみ」など
【ヒ】
ヒ =タマ 神名の核をなす霊力
(例) 禍津日(マガツヒ)神、天照日女(ヒルメ)神
光…ヒカリ ヒラメク
ヒル…ヒラヒラ、ヒョロヒョロのもとの言葉 (例) 蒜、蛭、アヒル(足ヒル)
穢れとは、もともと「気涸れ」
タマフリ、魂を振るわせる。お祓い
ミアレ木のアレとはひらひらひるがえるの意
振る、振れる、振るえる、などが重要とされた:
万葉集の歌の「袖振る」も、もとはこのような信仰と関係があった
【チ】
チ =タマ 神名の核をなす霊力
雷神(イカツチ)、大蛇(オロチ)
生命力、霊力としてのチ=内蔵→血、乳、チカラ、親(チカ)
チハフ
チハヤフル チ=霊力 ハヤ=烈しい形状 フル=振る
【ニ】
丹、土、チやヒより平和的霊力
匂う(ニホフ)、イコニコ、ヤサカニの曲玉
【カ、ケ】(神名の核にならない霊力)
カ…樹葉のさかえているさま かぐはし、カマク、カヅラ(カ・連ら)
ケ…火の気 煙(ケ・振り)
【呪詞】
先呪術的行動の反復によるカタルシス
(例)ほ、ほ、ほたるこい
寿詞 ヨゴト、ホカヒ、ヨム
酒=クシ(奇し)=クスリ
祝う=イ・ハフ
ホク=コトホク(コト・寿ク)
ヨム ヨ=生命力
和歌をヨム の起源はヨミ歌(祝歌)
めでたい言葉の呪力(言霊)はめでたい結果をもたらす=言霊信仰
祝詞=ノリト ノル・ノリとはイ・宣ル (→ノロフ)
祈る=イ罵(ノ)ル
天の川苗代水にせきくだせあま降ります神ならば神
雨乞い 神なら降らせよ
万葉以前は「神を祈る」であって「神に祈る」ではない。
神の臨在感が今より濃い。
*
これは以前も引用させてもらったのだが、大岡信の『詩歌ことはじめ』から:
日本の和歌というものは、必ず唱和ということから始まっていて、
その本質は古代から近代まで変わっておりません。
(天照大神の天の岩戸の例などが出るが中略)
われわれは言葉を使うときに、自分自身が満足すればそれでいい、
これだけ書いたら自分で言いたいことが言えた、だからこれでよろしい。
ほかの人がどう思おうと、それはよろしい。
こういう風に考えて文章を書いている場合も多い。
しかし、古代の人は、どうもそういうふうには言葉というものを考えていないようです。
言葉というものは、自分自身の思想や感情を表現するためだけのものとして
存在しているというふうには思っていないのです。
大切なのは、ほかの人に意思を通じさせるということ、人だけではなくて、
物質あるいは動植物にも通じさせるということです。……
*
なんだか学生時代の講義ノートみたいになってしまいました。。。orz
by youyouhibiki
| 2008-05-15 11:54
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