『パリ左岸のピアノ工房』
『パリ左岸のピアノ工房』(T・E・カーハート/新潮クレスト・ブックス)
家族とともにアメリカからやって来た「私」は、パリ左岸の小さな店に目を留める。
ウィンドに「デフォルジュ・ピアノ-工具と部品」と書かれているだけ。
「私」は、昔習っていたピアノを再開しようかと思っているので、
その店のドアをたたく。
「中古のピアノはありませんか?」
しかし、店の主人は、いつも煮え切らない返事ばかり。
結局、パリのこの小さな工房は、パリのこの手の店らしく、
「いちげんさんお断り」だった……。orz
なんとか紹介者を見つけて、店の主と知り合いになり……
そしてピアノへの扉は開かれる!
ピアノは、今やスタインウェイやヤマハといった
音質やタッチが一定なものが主流だが、
それ以前の手作りのピアノは、音色もさまざま、かたちもさまざまだった。
そもそもピアノは、楽器であると同時に、常にインテリアの一部であるとも
考えられていた。
だから、アンティークのピアノを選ぶということは、
音色や音量で選ぶと同時に、
デザインと大きさを選ぶことでもある。
(ちなみに、アパルトマンが多いパリでは、アップライト・ピアノの方が
お高いそうです。)
ピアノ店の主、調律師、ピアノ教師……それも、ピアノをこよなく愛する……
と、古今のすばらしいピアノが登場し、
ピアノとピアノを習うことがどれほど楽しく魅力的なことであるか、
「私」と一緒に私も経験することになる。
恋愛小説でもないのに、夢中になって、二日で読み上げてしまった。
それほど面白い。
自分の仕事って職人っぽいと思いつつある昨今、
特にその商いのあり方(情熱や、技術や、価値観など)を
知ることができたのも◎だった。
※読み終えて、フランス製の、ドビュッシーが弾いたようなピアノで
「月の光」を聴いてみたい、と切に思っております♪♪♪
(…もちろん鍵盤は象牙!…)
by youyouhibiki
| 2008-09-07 20:23
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