鎌倉・扇ヶ谷へ その1 寿福寺
先日図書館で借りた『「鎌倉百人一首」を歩く』は、
2006年に鎌倉ペンクラブが選んだ「鎌倉百人一首」を
鎌倉在住の歌人・尾崎左永子さんが紹介しながら
歌の周辺や歴史や風物を綴った一冊。
(尾崎左永子著・原田寛写真・集英社新書ヴィジュアル版)
素晴らしい鎌倉案内になっているので別途購入し、
鎌倉へ行くときはぜひ持って行きたいと楽しみにしていました。
第3章「山そして谷そして花」は、このように始められています。
鎌倉は天然の要塞である。三方を山に囲まれ、南だけが、
海にむかって開いている。海は広大で見通しが利くし、
山から敵が攻めようとしても、容易には破れない仕組みになっている。
古来、「鎌倉七口」といって、外から入って来る通路は、
狭い山路か切通しになっていたという。
敵が攻めて来ても、崖の上から迎撃できるのである。
山、とはいっても、海抜せいぜい百五十メートル平均程度の「低丘」の
丘陵である。が、樹々に埋もれた丘は結構山の雰囲気を保っていて、
それぞれ祇園山、梶原山、源氏山、鎌倉山などの名をもつ。
低い平地を囲む山は、そのまま海になだれ込む形で海に接している。(…)
鎌倉の山は無数の襞(ひだ)を抱えていて、
そこに集まる水は、小さな流れを作る。
山国なら「渓(たに)」とよび「峡(かい)」とよばれるのだろうが、
山は低く、流れの規模は小さい。これを「谷戸(やと)」と呼ぶ。(…)
「谷戸」「谷(やつ)」という呼び方は特に鎌倉に多い。
一日目は、そんな谷のひとつ、源氏山ふもとの扇ヶ谷(やつ)に行ってきました。
寿福寺は1200年、源頼朝の妻政子が義朝(頼朝の父)の邸跡に開基、
日本にお茶を初めて伝えた栄西開山のお寺です。
ガイドブックによるとここには北条政子・源実朝母子のお墓、
高浜虚子のお墓があるということで、裏の墓地の方へまわってみました。
この日は、午後雨が降るという予報だったので、そのつもりはしていたのですが
まだ雨には遠い空模様。でも、風が吹いて山自身が鳴っているかのような
葉擦れの音が聞こえます。ウィークデーだったこともあり、墓地にいるのは
私たちだけでした。
お墓はほどなく見つかり、お参りしました。
とくに実朝のお墓には「歌が作れますように(歌が上手くなりますように、の
ずっと前の段階)」とお祈りしておきました。
鎌倉のお墓の多くは「やぐら」と言い、岩をくりぬいているのが珍しいです。
(つづく)
by youyouhibiki
| 2008-12-07 13:00
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