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鎌倉番外編 辻邦生の本

鎌倉に行くと必ず立ち寄るのが、
小町通りにある「木犀堂」という古書店です。

このお店では堀田善衛『定家明月記私抄』や『ゴヤ』、
装幀家・栃折久美子さんの『ワープロで私家版づくり』など、
今までにもいくつかの「お宝」を見つけました。

書籍は整然と本棚に収められ、中央の広いテーブルの上には
数冊の本が間隔をあけて置かれています。
このお店にあるのはただの古本ではなく、
ご店主が「お客様のために取り置きしておきました」
と言っているような本ばかりです。

この度も、お寺へ行く途中、このお店に寄りました。
はじめて訪れた友人がじっくり見ていたので、
私もふだんは見ない棚まで見ていました。
そして、ふと気になって取りだした薄い本。。。
函から出すと、背とみきり(というの? コーネル? 小口の天地角の三角形)が革で
表紙と見返しがマーブル紙(それも模様が美しく、とびきり上等そうな)。
天金。辻邦生のサイン入り。
限定300部のうちのNo.6。25000円。

以前、辻邦生のエッセイだったか。。。どこかで読んだことがありました。
本を出すときには必ず別に特装本を作ってもらい、自分用にしたり、
たいせつな方に差し上げたりする、と。。。
タイトルは今、失念しましたが、昭和40年代に出されており、
出版社は聞いたことがないところだったので、
もしかしたら最初から限定300部で出版されたのかもしれません。

ご店主(ちょっとおっかなそう)に、思わず
「素晴らしい本がありますね。。。」と言ったら、
「辻邦生なら他にもまだありますよ」と
ご自分の棚のうしろ(お客には届かない)から出してくださいました。

一冊は革装で、見返しがイタリアのプリント柄。
本文紙は天・小口ともに漉きっぱなし(断たれていない)、
やはり限定300部のうちの一冊。サイン入り。昭和50年代の刊行。

もう一冊は装幀が武井武雄。表紙の金箔のイラストが武井らしい。天金。
限定300部。サイン入り。
これら2冊は18000円だったかな。。。

いずれにせよ手に届く金額ではなかったので遠慮して、
あまりゆっくり見なかったのですが、
昔よく読んだ辻邦生の、特別な思い入れある本を
見せてもらうことが出来てよかったです。


実は、こちらの書店の名前が分からず、あちこち検索していたのですが、
その折、上村典子さんのこのような短歌を見つけてしまいました


  鎌倉市雪の下なる木犀堂古書奥付に朱の印ともる


以前、ブログにも書いた方なのですが、

  とぢ糸は野のみづひきの花の色国文学科書庫二月なり

など、素敵な短歌を作ってらっしゃる方です。
by youyouhibiki | 2008-12-08 18:15 | 鎌倉散策


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by youyouhibiki

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